女子中学生の不登校の原因は?
中学生の生徒は小学生に比べて不登校の割合が増えます。中学生になると様々な変化があり、変化に対応できずに不登校になる生徒が多いといわれています。
では具体的にどのような原因があるのでしょうか。中学生の不登校の原因と、女子特有の不登校の原因について紹介します。
中学生の不登校の原因データ
無気力・不安49.7%
いじめを除く人間関係11.5%
あそび、非行11%
親子・家庭内7.2%
学業の不信6.2%
(令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について)
不登校の原因1位は無気力という結果であり、本人にも具体的な理由が分からないパターンが殆どです。本人にも理由がわからないのであれば「子どもの不登校の原因が分からない」と思うのは当然です。この結果から、本人にも何が原因か分からないけれど、複数の要因が積み重なっている可能性が考えられます。
女子中学生特有の不登校の原因とは
女子中学生は学校生活の変化、心と体の変化など様々な変化によってストレスが発生しやすい環境で生活しています。
女子中学生の心と体の変化
・社会性が培われ、他者の目を意識するようになる
・初潮の開始頃から女性ホルモンの分泌が始まり、心と身体の変化が始まる
・精神的にデリケートになり、感情の起伏が激しくなりやすい
・体が大人に近づくが心が追いつけずに体と心のズレが起きる
学校生活の変化
・部活が本格的になり、先輩後輩という人間関係が増える
・授業後に部活や生徒会で帰宅時間が遅くなり自由な時間が減る
・帰宅後もSNSで繋がる=自由がないことがストレスの場合も
女子は男子よりも「人間関係によるストレス」が多いといわれています。小学校高学年ごろから数人ごとのグループ行動が中心となり、「周りの子にどう思われるかが気になる」「周りに嫌われたくない」「自分の容姿が嫌だ」などといった他者の目を気にする言動が増える傾向にあります。SNS上では加工を使った「盛った写真」が溢れており、自分と比較する対象が以前よりも増えています。また、自撮り写真の加工をする行為自体が自己肯定感を下げることも明らかになっています。
更に、思春期の女子は初潮が始まる頃から女性ホルモンの分泌が始まります。体調の変化だけではなく、精神的にもデリケートな時期になります。心と体の変化が重なり、疲れやすくなったりイライラしやすくなったりします。
上記のように女子中学生にとってストレスとなる要因は複数あります。不登校の理由はそれぞれですが、他者との違いや能力差に悩み、自己肯定感が下がってしまうことが原因で不登校になることが多いと考えられます。
不登校の女子中学生へのサポート方法
では、保護者は不登校の子どもとどのように接したらいいのでしょうか。避けたほうがいい言動と望ましい言動をお伝えします。
学校への行き渋りがあらわれた場合は、無理やり学校に行かせようとせずに休んでいいと伝えましょう。子どもは何らかのストレスや精神的な不安がピークを迎えた状態で不登校に陥ることがほとんどです。その時に一番大切なことは十分な休息をとることです。年齢的に反抗的な言動があらわれる場合もありますが、子どもを責めるような言動やアドバイスも控えましょう。
不登校生徒への対応方法は複雑で、適切ではない対応を続けると回復に向かいません。
保護者はひとりで抱え込まず、学校と連携をとり、専門家へ相談しましょう。
不登校の相談先一覧はこちらの記事を参考にしてください。
不登校の中学生の進路とは
中学生の時期に不登校であっても高校進学が可能です。進学先には全日制高校、定時制高校、通信制高校と選択肢がありますが、どの学校を選んでも卒業時に高校卒業資格が得られます。それぞれの学校の通学イメージ、入試方法をお伝えします。
全日制高校
通学イメージ:一般的に高校と聞いて想像するのが全日制高校ではないでしょうか。週5日登校し、日中に勉強する高校です。
入学試験:当日の学力試験と調査書の内容で合格が決まります。ただし、試験と調査書内容との比重が学校によって異なります。募集要項を確認して学校選びをしましょう。どの学校であっても当日の学力試験の結果が重要なことには変わりません。
注意点:義務教育である中学校と違い、遅刻や欠席が続くと留年してしまいます。不登校を経験した生徒が通学する場合、生活リズムが整っていない状態だとリスクがあるでしょう。
定時制高校
通学イメージ:全日制と同じく週5日通学ですが、1日の授業時間が短いのが特徴です。授業時間が短いので4年間かけて卒業するのが一般的です。通う時間帯は朝・昼・夜のいずれかを選ぶことができます。「学年制」か「単位制」かは学校によって異なります。
入学試験:国・数・英の学力テストと面接が一般的です。
注意点:定時制高校の中退率は10%以上と高めです。
通信制高校
通学イメージ:週に何日通うかを選べる学校や、在宅コースがある学校があります。
「単位制」を採用しており、レポート提出・スクーリング・テストを受けることで必要な単位を取得し、卒業することができます。スクーリングの方法は「通学タイプ」「合宿タイプ」など学校によって異なります。
入学試験:書類選考、作文、面接が一般的です。
注意点:基本的に自分で学習を進めなくてはいけないため、卒業率が低いのが現状です。通信制高校に通う生徒の多くは通信制サポート校を利用して学習面のサポートやメンタルケア、各学校のイベントに参加しています。
全日制高校、定時制高校、通信制高校とそれぞれの学校に特徴があります。通い方や入試方法を検討し、子どもにあった学校を選ぶことが大切です。
また、中学生のうちに適応指導やフリースクールの利用をすることもおすすめです。なぜなら、高校生活に向けて通学のリズムを整えることができますし、出席認定が取れるスクールであれば出席日数をカバーできるからです。子どもと相談し、選択肢のひとつにしてはいかがでしょうか。
まとめ
中学生女子の不登校の原因から対応方法、進路まで紹介しました。保護者の方は娘が不登校になるとどのように接していいか悩んだり、先のことを考えて不安に感じてしまうかもしれません。専門家と相談しながら対応、サポートをおこないましょう。また、中学時期に不登校を経験していても高校進学は可能です。焦らずに子どもに合った進路を探しましょう。