公立高校としては日本一の進学実績を誇る日比谷高校。
今回は、日比谷高校の校風、偏差値レベル、入試情報、進学実績など詳しく解説していきます。
志望校選定の参考にしてみてくださいね。
日比谷高校の特徴
名称 | 東京都立日比谷高等学校 |
---|---|
旧名称 | 東京府第一中学 |
所在地 | 東京都千代田区永田町2-16-1 |
最寄り駅 | 半蔵門線・有楽町線 永田町駅より徒歩7分 銀座線・南北線 溜池山王駅より徒歩7分 丸ノ内線 赤坂見附駅より徒歩7分 千代田線 国会議事堂前駅より徒歩7分 |
設立 | 1878年 |
課程 | 全日制 |
設置学科 | 普通科 |
プール設置 | 有り |
上履き | 無し |
出身有名人 | 横山大観(日本画家) 谷崎潤一郎(小説家) 塩野七生(小説家) 西竹一(オリンピック金メダル・馬術・通称”バロン西”) 利根川進(ノーベル生理学・医学賞) 阿部信行(元首相) 町村信孝(元外相・文相) 角谷暁子(テレビ東京アナウンサー) |
日比谷高校は東京都心のど真ん中にあり、教室の窓から国会議事堂が見える日本で唯一の高校です。周囲には国会議事堂のほか、自民党本部、首相官邸、議員会館、最高裁判所などがあり、社会科見学でしか行けないような環境に囲まれています。
地下鉄6路線・4駅からそれぞれ徒歩7分程度とアクセスのしやすさは抜群で、全都から優秀な生徒が集まりやすい立地にあります。
また、日比谷高校の卒業生には様々な分野で近現代の日本を支えた錚々たる面々がおり、「卒業生だけで一冊の歴史書が書ける」と言われるほどです。その層の厚さは間違いなく日本中の高校の中でもトップクラスでしょう。
1つの高校が「総理大臣・ノーベル賞受賞者・オリンピック金メダリスト」を輩出した例は全国でも2校にしか見られませんが、そのうちの1校が日比谷高校です(あと1つは神奈川県立横須賀高校)。
日比谷高校の校風
近年復活著しい日比谷高校ですので、「ガリ勉の集まり」と思われがちですが、もともと「文武両道の精神」を理念としており、いまでも約95%の生徒が部活動に所属しています。何しろ、東京中の優秀な中学生が、さらに決勝戦を勝ち抜いて集まったような学校なので、勉強をする、できるのは当たり前で、その他にも何かを持っている、何かに打ちこめる生徒が多いようです。
学校行事でもメインの「三大行事」はすべて生徒によって運営され、その熱気、完成度はプロも唸るほど。近年の日比谷高校は「勉強もできるけど、コミュニケーション能力も高く、何にでも熱心に全力で取り組む生徒が多い」という印象です。
学校側も「知の日比谷」を標榜し、グローバルリーダーの育成に力を入れています。そのため、通常の授業に並行して短期留学プランや「理数探究基礎」、特別講座や夏期講座などが用意されており、生徒の向学心に応えています。
日比谷高校の授業
日比谷高校の授業は1コマ45分。進学校の中では時間が短いと言えます。しかしその分密度が濃いこともトップクラス。数学などでは2コマ連続の100分授業などが行われています。教室には窓側以外のすべての面に黒板が設置され(通称”三面黒板”)、生徒が先生役として別の生徒に授業を行う数学の授業があったり、初めから最後まで英語だけを使う英語の授業が通年行われたり、ハードながらもユニークな授業が多いのも特徴です。理科のレポートなどは日本語、英語のどちらでも提出可能。実際に英語で提出する生徒も少なくありません。
また、生徒による授業評価が年2回実施されており、教師陣も結果を受けて授業改善を行っているので、生徒と教師陣の真剣勝負が毎日展開されているといっていいでしょう。
文系理系が分かれるのは3年次から。生涯に渡る教養教育を重視し、すべての生徒が文理問わずできるだけ多くの科目を学べる環境があります。また、このことは国公立大学を目指す生徒には有利な科目配置と言えるでしょう。
日比谷高校の行事① ~動の前期~
日比谷高校はいわゆる「二期制」です。行事が集中する「動の前期」と、大きな行事がなくしっかり勉強に取り組む「静の後期」に分かれます。
「体育大会」「合唱祭」「星陵祭」が日比谷高校の三大行事で、すべて前期に行われます。生徒の有志が運営組織を作り、企画から運営まですべて生徒の手によって行われます。この中で特に有名なのが文化祭である「星陵祭」です。各学年8クラス、全24クラスが教室劇を行う文化祭で、模擬店などは一切ありません。特にすごいのは3年生のクラスの演劇。演技や衣装はもとより、舞台装置や音響などどれをとっても圧巻の舞台が披露されます。優勝である「星陵大賞」を受賞したクラスの演劇などはプロをも唸らすレベルで、一見の価値があるでしょう。
実際に、「中3の時に星陵祭を見て日比谷に決めた」とか「星陵祭で演技をしたいから日比谷を目指した」という生徒が多いのも事実。三大行事の中で唯一外部にも開放されている行事で、近年は1万人近い来訪者が押し寄せるため、演劇のチケットを取るのも一苦労ですが、受検を考えている中学生やご家族の方には刺激になること間違いなし。足を運んでみることをおすすめします。
日比谷高校の行事② ~静の後期~
星陵祭が終わるともう大きな行事はなく、しっかり勉強に取り組む「静の後期」が始まります。星陵祭を見ていると、果たしてどれくらいの準備を重ねれば、こんな演劇が見せられるのかというほどの完成度なのですが、実際、勉強の傍らに準備を重ね、効率よく毎日を過ごしているようです。特に3年生は、星陵祭が終わると共通テストまで4ヶ月しかありません。これでよくあのような合格実績を出せるものだと思いますが、むしろ日比谷高校には「行事に熱心に参加した生徒ほど合格率が高い」という言葉があり、生徒も教師もしっかりと切り替えて受験体制に入っていくのでしょう。これが、この学校の一番の凄さかなという気がします。
日比谷高校の進学実績(2022年)
国立大学進学 ※()内数字はうち現役合格者数 | |
---|---|
東京大学 | 65名(53名) |
京都大学 | 13名(10名) |
一橋大学 | 9名(8名) |
東京工業大学 | 7名(5名) |
私立大学進学 ※()内数字はうち現役合格者数 | |
---|---|
早稲田大学 | 184名(152名) |
慶應義塾大学 | 147名(116名) |
上智大学 | 68名(56名) |
東京理科大学 | 104名(68名) |
圧倒的な合格実績
日比谷高校の進学実績はまさに圧巻です。2022年は東大合格者数が65名となり、高校別ランキングで全国8位、公立高校としては9年連続全国1位となりました。日比谷高校は全員が高校から入学する3年制の公立共学校。この高校が全国の錚々たる名門国私立高校が名を連ねるランキングに割って入るのですから、ものすごいことです。
東大志向が強い日比谷高校ですが、近年人気の医学部医学科への合格実績にも目を見張るものがあり、2022年は国公立大学の医学部医学科、私立も含めた全大学の医学部医学科とも合格者数が公立高校全国1位となりました。
「高校受検を経て東大や医学部を目指すなら、日比谷が最適解」と言えるほど圧倒的な進学実績で、高校側が「全国公立高校の旗艦校」と自負するのもうなずけます。
また、私大トップの早慶大への合格実績も凄まじく、現役合格がそれぞれ100名以上の年が普通で、公立高校のみならず全国のトップレベルにあります。「学年の中位程度にいれば早慶大への現役合格は見込み十分」と言える実績です。
復活の日比谷
近年、急速に進学実績を伸ばす日比谷高校ですが、もちろん「新興進学校」というわけではありません。むしろ、1960年代には「日比谷1強」と呼ばれる時代がありました。最盛期には東大合格者が190名を超え、何年も連続で合格者ランキングの1位に君臨していたのです。「番町小学校→麹町中学校→日比谷高校」という言葉が生まれ、このルートが東大へ進むエリートコースとして注目されました。
しかし、東京都による悪名高き「学校群制度」の導入により日比谷高校の進学実績は一気に凋落。1993年には東大合格者数がついに「1名」にまで落ち込みました。
名声が地に落ちた日比谷高校でしたが、東京都による改革や教職員の頑張りにより21世紀に入り徐々に復活。2014年には約半世紀ぶりに東大合格者数で公立高校1位に返り咲くと、その後は毎年教育関係者を驚かせ続ける実績をあげています。
日比谷高校の偏差値レベル
日比谷高校の偏差値 | |
---|---|
日比谷高等学校 | 74 |
偏差値が近い学校 | |
都立西高校 | 73 |
都立国立高校 | 73 |
日比谷高校のほか、西高校、国立(くにたち)高校を合わせて近年では「都立御三家」と呼ぶことも。その中でもここ数年は、入試難易度、大学合格実績などで日比谷高校が抜きん出ており、「日比谷1強体制」となりつつあります。
日比谷高校受検生の平均的な併願先は、筑波大学附属駒場高校、筑波大学附属高校、東京学芸大学附属高校などの国立(こくりつ)高校のほか、開成高校、早慶大附属・系列高校などの私立最難関高校となります。いずれもレベルが高く、人気の高い高校なので合格確実な高校を別に抑えておくなどの受検戦略も重要となります。
なお、男子の場合、ここ数年は私立最難関の開成高校と日比谷高校の両方に合格した場合、「日比谷に進学する」という生徒が多数派であると聞きます。国立最難関の筑波大学附属駒場高校も含めて、複数合格した生徒が日比谷を選ぶことは珍しいことではなくなりました。
一方で女子は日比谷高校の併願先になりうる高校が男子に比べて少なく、いずれも激戦となります。合格確実な併願校をしっかり抑えておくことがより重要になります。
日比谷高校の入試情報
日比谷高校は都立高校であるため、他の都立高校と同様の日程で入試が行われます。
都立高校入試は大きく分けて「推薦に基づく選抜(以下:推薦入試)」と「学力検査に基づく入試(以下:一般入試)」にわかれ、日比谷高校においても時期をわけてこの2つ入試が行われます。
推薦入試と一般入試はどちらも日比谷高校に出願することができますが、推薦入試は日比谷高校、一般入試は他校などの選択もできます。もちろんその逆も可能です。ただし、先に行われる推薦入試に合格した場合は、どの高校であっても一般入試には出願ができません。
2023年の入試日程等は以下の通りです。
2023年度 推薦入試情報 | |
---|---|
試験日 | 1/26(木) ※日比谷高校は1日で実施 |
合格発表日 | 2/2(木) |
募集人数 | 男子33名 女子30名 |
試験科目 | 小論文 個人面接 |
都立高校の推薦入試は、1/26(木)・1/27(金)の2日間に渡って実施されるのが一般的ですが、日比谷高校では例年1日間で実施されます。
内申450点、小論文250点、個人面接200点の900点満点で実施され、男子はオール5の出願者が募集人数とほぼ同数、女子は1.7倍ほどとなります。東京中の優秀中学生による決勝戦のような入試であり、例年狭き門をかいくぐるかなりの激戦となります。
2023年度 一般入試情報 | |
---|---|
試験日 | 2/21(火) |
合格発表日 | 3/1(水) |
募集人数 | 男子132 女子122名 |
試験科目 | 国語 数学 英語 理科 社会 |
日程は他校と同じですが、国語・数学・英語(リスニング除く)は自校作成問題となり、いわゆる共通問題とくらべてかなり難易度が高い問題となります。理科・社会・英語のリスニングは共通問題です。
各科目100点満点で合計500点満点ですが、合否判定では700点に換算します。300点に換算された調査書点、および2022年11月に実施された英語のスピーキング試験の満点20点とあわせ1,020点満点で合否を判定します。
応募者と倍率の推移(推薦入試・男子)
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
募集数 | 33 | 33 | 32 | 33 | 33 |
出願者 | 91 | 101 | 80 | 98 | 101 |
合格者 | 33 | 33 | 32 | 33 | 33 |
倍率 | 2.76 | 3.06 | 2.50 | 2.97 | 3.06 |
出願者数は例年100人前後で推移しており、倍率も安定しています。学校側の発表をもとにすると、出願者のうち30名前後が「オール5」と推察され、例年激戦となっています。悪くても素内申で43はないと合格は厳しいと思われます。
応募者と倍率の推移(推薦入試・女子)
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
募集数 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 |
出願者 | 120 | 114 | 130 | 139 | 116 |
合格者 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 |
倍率 | 4.00 | 3.80 | 4.33 | 4.63 | 3.87 |
男子以上の激戦となるのが女子です。倍率は例年4.0倍前後となり、出願者のうち50名ほどが「オール5」であると推察されます。これは募集数を遥かに上回る人数です。素内申43以下の合格者は例年ほぼいませんので、44以上が実質の「受検資格」と考えていいでしょう。
応募者と倍率の推移(一般入試・男子)
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
募集数 | 132 | 133 | 132 | 132 | 132 |
出願者 | 313 | 329 | 296 | 297 | 330 |
受検者 | 237 | 258 | 213 | 215 | 249 |
合格者 | 144 | 142 | 142 | 142 | 149 |
受検倍率 | 1.80 | 1.94 | 1.61 | 1.63 | 1.89 |
入学者 | 137 | 131 | 135 | 134 | 139 |
ここ5年の受検倍率(受検者数÷合格者数)は1.8倍前後となっており、都立高校全日制普通科の平均値よりはかなり高い水準です。一般入試の男子は、受検辞退者、入学辞退者ともに都立高校としては多いことが特徴で、これは併願校が私立・国立ともにトップ校であることが理由でしょう。そのため、都立高校としては珍しく毎年募集数にくらべて10名前後の水増し合格者が出ます。
男女別募集枠について
日比谷高校は男女別に募集数が定められ、合否判定も男女別に行いますが、「男女別定員の緩和措置」の対象校でもあります。緩和措置とは、一般入試の合格者の90%までは男女別で行い、残りの10%は男女の別なく合否を判定するというものです。上表の合格者数は措置実施後の合格者数となります。
「男女別募集枠」というのは日本で唯一東京都のみに残った制度であり、東京都においても全廃し、将来に向けて男女合同枠に移行することが発表されています。過渡期である2023年入試では、「男女別定員の緩和措置」が従来の10%から20%に変更されることが決まっています。
応募者と倍率の推移(一般入試・女子)
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
募集数 | 122 | 121 | 123 | 122 | 122 |
出願者 | 243 | 259 | 252 | 238 | 216 |
受検者 | 219 | 223 | 212 | 202 | 189 |
合格者 | 129 | 128 | 133 | 130 | 122 |
受検倍率 | 1.80 | 1.84 | 1.72 | 1.66 | 1.55 |
入学者 | 124 | 118 | 128 | 126 | 118 |
男子同様、女子も都立高校全日制普通科の平均倍率を大きく上回り激戦となります。例年受検辞退者(出願者-受検者)が30~40名程度出ますが、これは先に行われる私立・国立の併願校の受検結果によるものでしょう。「男女別定員の緩和措置」については男子の項をご参照ください。
日比谷高校の推薦入試を受けるメリット・デメリット
日比谷高校の推薦入試は、内申450点、小論文250点、個人面接200点の900点満点で合否判定が行われます。
例年1月26日に行われ、2月2日が合格発表日となっているこの入試を受けることには、明確な「メリット」と「デメリット」が存在することをまずは把握しておきましょう。つまり、対策を考える前に、まずは「出願するかどうか」を真剣に見極めることからはじめる必要があるということになります。
推薦入試を受けるメリット
まず「メリット」は、受検機会が増えることです。この入試で合格してしまえばもう受検は終わり。一般入試より1ヶ月も早く受検が終了します。
仮に不合格でも一般入試にチャレンジできます。とくに保護者がこの推薦入試を受けさせたがったり、合格を強く願ったりすることが多いです。
また、学力検査が課されないため、「内申はいいけど、偏差値や得点力が低い」タイプの生徒には有利に作用しやすいでしょう。
推薦入試を受けるデメリット
次に「デメリット」ですが、推薦での合格を第一に考えてしまいがちであるということがあります。合格できればいいのですが、受検日から合格発表日まではそわそわしてほとんど勉強が進まないことが多く、推薦入試を受けないで勉強していたライバルに比べて遅れを取ったのではないかと思ってしまいがちです。不合格の場合は、3週間後に迫る一般入試に向けて特にメンタル的に一転ピンチとなることが多いです。
また、3倍前後の高倍率もネックとなります。しかも相手は各中学校の最優秀層。トップ同士の決勝戦のような入試です。「受かればラッキー」くらいのつもりで受けるのは当然ですが、それでも不合格という現実が突きつけられた場合、多かれ少なかれショックを受けることにはなるでしょう。
さらに、合格可能性を高めるためには、小論文と個人面接の準備が不可欠であるということもあります。どこでどんな対策をするのかが簡単には見えない検査項目であることに加えて、準備段階で、「でもこれらの準備が不合格によって無駄になるかもしれない。この時間にライバルは学力を高めているかもしれない」という不安感に打ち勝てるかというメンタル面の強さも求められます。
これらのことから、推薦入試は、「内申がしっかり足りているか」「メンタルは強いほうか」「仮に不合格でも、一般入試では合格できるだけの自信があるか」「しゃべりが利く(コミュニケーション能力が高い)ほうか」「文章能力で劣っていないか」などをしっかり見極めて受検するかどうかを決めるべきでしょう。
推薦入試合格者は、入学後に生徒会や行事の委員長に就任したり、クラスのリーダーになったりとコミュニケーション能力の高さを生かした活躍をすることが多く、多かれ少なかれ学校側もそれに期待しています。特に「無口」「おとなしい」「メンタル的に強くない」などの生徒は受検の是非を慎重に考えるべきでしょう。
なお、「推薦」とは「中学校長の推薦」であるので、「素行不良」や「欠席数」などの問題で内申が足りていても学校長から推薦がもらえない例もあるため、注意が必要です。
日比谷高校の推薦入試 個人面接と小論文対策
出願すると決めたら、個人面接と小論文の対策が必要となります。日比谷高校の場合は、合格者の内申はほぼ決まっているので差が出ません。勝負は小論文と個人面接となります。
個人面接対策
個人面接では、都立高校のそれぞれが発表している「本校の期待する生徒の姿」にどの程度合致しているかが、大きな評価基準となっています。日比谷高校においては以下のとおりです。
1 自律的人格を育成し、幅広い教養と高い学力を目指す本校の教育目標の下、誠実に努力する決意を有する生徒
2 将来の進路選択について、明確な目的意識をもって本校への入学を志望する生徒
3 学習成績が優れ、自主的な学習・学校行事・生徒会活動・部活動等に積極的に取り組んだ実績を有する生徒
※ 特に推薦選抜においては出席状況が良好で、下記(1)から(5)までの項目に該当する生徒であることが望ましい。
(1) 9教科の観点別学習状況評価が優れていること
(2) 教科学習に関連する分野で、英語検定準2級又は同等の資格・能力を有すること
(3) 学校行事・生徒会活動・部活動等において、中心的な役割を担った実績を有すること
(4) 学校内外の諸活動で、都大会又はそれに準ずるコンクール等に出場し、優秀な成果を収めたこと
(5) 論理的な思考力や考察力、自分の意見を的確に表現する能力を有すること
出願時に提出する自己PRカードも「本校の期待する生徒の姿」に沿って作成する必要がありますが、個人面接でも自己PRカードの内容に基づいて質問されます。当たり前ですが自己PRは自分で書いた内容ですので、どういう角度から質問が来ても答えられるようにしっかりと準備しておく必要があります。
日比谷が掲げる「本校の期待する生徒の姿」を踏まえてアピールできるところはしっかりアピールし、かつ、「どうして日比谷でないといけないのか」に対する自分なりの解をもって臨めるのかが高得点への鍵になると思います。
例年、受検者1名に対して面接官が2名程度、15分前後で行われます。一つの質問から掘り下げていく形式が多く、受検者の返答に質問を重ねていくスタイルがメインです。このようなスタイルでは通り一遍な回答や、浅い思考では太刀打ちできなくなることが多く、あえて受検者を苛つかせる「圧迫面接」に近い面接となることも容易に想像されます。しっかりとした準備と対策を行いましょう。予行演習としては、中学校でも模擬面接をしてくれる場合もあると思いますが、塾や家庭教師センターでもノウハウがあるはずですので相談してみるといいでしょう。
「リーダーシップ・協調性」「コミュニケーション能力」「思考力・判断力・表現力」「出願の動機・進路実現に向けた意欲」という4つの評価観点をもとに評価が下されます。
小論文対策
日比谷高校の小論文は、検査時間50分で、設問は2問というスタイルです。問1は120字、問2は420字〜460字程度となります。
近年では「SDGs」「地球温暖化対策」などの地球規模の社会問題から、「男女共同参画社会政策」「集団における意思決定の方法論」などテーマはバラエティに富んでいますが、どれも「ホットイシュー」と呼ばれる重要課題がフォーカスされています。
日比谷高校は、単に勉強ができるだけでなく、解のない難題に取り組んでいけたり、コミュニティを引っ張っていけたりするリーダーの育成に取り組んでいることがメッセージとして伝わるようなテーマ設定です。
逆に言えば、すでに世界中の人々の間で議論になっている問題であり、関心さえあれば先行知識を備えやすいテーマとも言えます。しかし一方で、大人が大勢集まっても容易に解決できないようなテーマをあえて中学生にぶつけてきているとも言えます。まずは、日頃からさまざまなメディアを通して、社会で何が大きな問題として扱われているのかに意識を持つことが大切だと言えるでしょう。
「出題の意図を的確に把握する力」「資料を正しく分析し、考察する力」「根拠を明確にして自分の意見を的確に表現する力」「文章を論理的に構成する力」という4つの評価観点をもとに評価が下されます。
日比谷高校の一般入試対策
日比谷高校の一般入試における学力検査は、5教科各100点満点、試験時間各50分で実施されます。英語(リスニングを除く)・数学・国語は自校作成問題、理科・社会は共通問題となります。素内申を43以上確保していることを前提とすると、例年合否を分ける点数は350点〜370点ほどとなります。自校作成問題である英語・数学・国語で平均60点、共通問題の理科・社会で平均90点を取れると、5教科合計360点。科目ごとに取れる点数のばらつきはあってもこれらの点数が目安となるでしょう。
英語の対策
例年の問題数と配点 ※変わる可能性があります
問1:リスニング(共通問題/配点20点)
問2:会話文(配点34点)
問3:説明文(配点34点)
問4:自由英作文(配点12点)
日比谷の英語は、長文の長さと英作文の配点の高さにあると言っていいでしょう。英作文は問4のほか、問2・問3にも設けられており、100点満点中28点分というウェイトの高さです。合格点を確保するには、長文を速読し、書かれている情報を整理する力を養うことが大前提。その上で英語で正しく表現する力が求められます。難度の高い長文読解演習と精読を繰り返し、英作文については誰に指導・添削を頼むかを早期に決めましょう。
数学の対策
例年の問題数と配点 ※変わる可能性があります
問1:小問集合(配点25点)
問2:二次関数(配点25点)
問3:円と図形(配点25点)
問4:空間図形(配点25点)
問題構成はここ数年、問1・小問集合25点、問2・二次関数25点、問3・円25点、問4・空間図形25点となっています。他の難関校同様に記述問題が豊富に出題され、100点満点中35点分が配点されています。作図・証明・解法記述の対策は必須となります。標準的な問題を速く正確に解くことからはじめ、多様な問題に対応できるよう問題演習を重ねていきましょう。
国語の対策
例年の問題数と配点 ※変わる可能性があります
問1:漢字の読み取り (各2点×5問、配点10点)
問2:漢字の書き取り (各2点×5問、配点10点)
問3:小説文 (配点28点)
問4:論説文 (配点32点)
問5:古典と現代文の融合問題 (配点20点)
問題構成はここ数年、問1・漢字の読み取り10点、問2・漢字の書き取り10点、問3・小説文の読解24点、問4・論説文の読解36点、問5・古典解説文(融合問題)の読解20点となっています。日比谷の国語は試験時間50分で長文を3問以上読み、250字の作文を書くという内容のため、速読力を前提としたスピード勝負となります。その中で正確性をどの程度確保できるかが勝負を分ける鍵となるでしょう。難度の高い問題演習を重ねていきましょう。また、20点分が配点されている漢字の読み書きは落とすと大きな痛手となります。常用漢字は完璧にしておきたいものです。
理科・社会の対策
理科・社会は共通問題ですので、日比谷高校の受験生にとっては難しいものではありません。穴や苦手をしっかり潰しておき、本番では90点以上、悪くても80点以上の確保を目指しましょう。
日比谷高校の入学後にかかる費用について
授業料について
年間118,800円(月額9,900円)
※ただし、世帯収入910万円未満の家庭は国から同額の助成金が支給されるため実質無料
諸費について
諸費には、積立金、生徒会費、PTA会費があります。積立金:
- 1年次:85,000円
- 2年次:81,000円
- 3年次:43,000円
生徒会費:年額4,000円PTA費:年額4,000円
入学時にかかる費用について
入学考査料:2,200円入学料:5,650円体育着等:約20,000円剣道着:約8,000円(選択者のみ)柔道着:約7,000円(選択者のみ)白衣:約1,500円制服:27,000円~30,000円教科書・補助教材:約46,000円
日比谷高校の良い口コミと悪い口コミ
あくまで在校生、卒業生による個人の感想ですが、総合的には「良い口コミ」が圧倒的に多いようです。それでも合う・合わないは個人によって違いますので、過度に口コミを信じることなく、参考程度に捉えてください。
良い口コミ
こんなに良い学校はない。適度に自由だし、青春することも全然可能。生徒のなかで学校のことを嫌っている人はほとんどいない、ていうかそんな話は聞いたことがない。あと、プライドもあるのか、基本は絶対留年させない。
入学してみて、改めて良い学校だと思う。地元の公立中学から来た生徒、私立中学から来た生徒、海外で生活した期間が長い生徒など、様々なバックグラウンドを持つ生徒が集まってくるので、毎日の生活はとても刺激的だと思う。また、SSHや東京グローバル10に指定されているので、活動に潤沢な予算が伴う場合が多い。これは都立のみならず全国的にも恵まれている環境だと感じる。進学実績はもちろんのことながら、受験に関係のない教科を全員履修するリベラルアーツ的な立場をとっているので、自分の将来の可能性は広がると思う。
卒業生です。この学校で3年間過ごした経験から評価させてもらいます。結論から言わせていただけば、入学して後悔するというようなことは、まず間違いなくないと思います。
正直入学するまでは、「ガリ勉の集まり」「勉強だけの学校」などの勝手なイメージを膨らませていましたが、実際に入学してみるとそんなことはなく、本当に多種多様な人が集まっていました。
確かに勉強はできる、というより、難なくこなしてしまう人が多いです。
ですから、元々勉強するのがあまり得意ではない人が入学してしまうと苦労するとは思います。
大多数の人が、勉強なんてできて当たり前、何かしら+αの秀でた才能を持っているという印象です。
事実、私はこの学校に入学してから、本当に天才はいるんだな、と実感しました。
そういった意味でもなかなか刺激的な学校生活が送れるのではないでしょうか。
良い口コミでは、優秀な同級生に囲まれた刺激的な学校生活、公立高校とは思えない潤沢な予算などから、「こんな良い学校はない」と絶賛するものが多い印象です。
一方で悪い口コミはどのようなものがあるでしょうか。次の項でご紹介します。
悪い口コミ
自由度がとても高いが、ある意味放任。課題をドサっと出され、それをこなせば良い。それを活かすも捨てるも生徒次第かと。質問しにいくなど課題を自分のものにするべく自ら動く必要があります。結局積極性が求められると思います。生徒全員が頭がいいだけでなく、水泳やその他スポーツ、ピアノ、ヴァイオリンなどの楽器、そろばん、歴史の知識や雑学など、特技や長所、趣味を持っているので、とても素敵な友人たちに出逢えました。これが日比谷高校に入学して1番良かったことです。まあ裏を返せばみんな凄すぎて自信をなくす毎日です。さすがにもう慣れてきましたけどね笑笑
とにかく平和な毎日。人にもよるが、高校生活に青春や刺激を求めている人には向いていない。多くの生徒が一年の頃から勉強に集中している。かといってガリ勉が多いわけではなく、部活や外部での活動も積極的に参加している文武両道な人が多い。運動面、勉強面、性格面全てにおいてみんなハイスペックなので時々、いやよく自信を失う。なにか一つでも誰にも負けない特技や秀でていることがあるといいと思う。
外面だけが非常に良い学校です。
学校説明会では主体的で充実した学習や進路指導、「文武両道ができている」生徒が日比谷高校での充実した高校生活、毎日の勉強が大変だが文武両道ができていることを説明していました。
しかし実際に入学してみると、生徒の理解状況を考えておらず先生がやりたいことをやるだけの授業で、進路指導は東大などの有名国立大学や早慶などの有名私立大学以外の道は全て否定されます。
また、文武両道はこの学校では実現し難いと思います。勉強を優先すれば普通の人間は部活をやめるくらいまでしないといけません。部活を優先すれば勉強がかなり疎かになってしまいます。部活を優先した結果浪人した先輩や友人を何人も見てきました。
参照元:https://www.minkou.jp/hischool/school/2943/
悪い口コミでは、「同級生が優秀過ぎて自信をなくす」、「勉強優先で青春を謳歌できない」というものがありました。やはり、勉強に遅れが出るといろいろなことが楽しめなくなるようです。
まとめ
日比谷高校は全都の最優秀層が集う学校です。そのため、中学時代にトップだった生徒も、自信のあった勉強で容易に挫折する学校です。しかし、皆が必死でしがみつきながら挫折と成長を繰り返して過ごす日比谷高校での3年間は刺激に満ち溢れたものとなるでしょう。
日比谷高校はその歴史、実績、位置づけから、日本における公立高校の旗艦校と呼ばれますが、この学校の魅力は進学実績や偏差値だけで語れるものではありません。
日比谷高校ならではの魅力を感じるために、努力して入学を目指すに値する高校だと思います。