早稲田大学国際教養学部は、ほぼ全ての講義を英語で行い、多様な国籍の学生や教員が集う環境で、国際関係、経済、文化、社会など幅広い分野を学ぶことができます。
今回は早稲田大学国際教養学部の紹介と、各教科の基本情報、主な進路や受験生の方からよくある質問を、現役早大生(法学部・2年)が解説します。
早稲田大学国際教養学部の基本情報
早稲田大学国際教養学部の基本情報を解説していきます。
設立:2004年
所在地:〒169-8050 新宿区西早稲田1-6-1(早稲田キャンパス・11号館)
アクセス:JR 山手線 高田馬場駅から徒歩20分
西武新宿線 高田馬場駅から徒歩20分
東京メトロ 東西線 早稲田駅から徒歩5分
東京メトロ 副都心線 西早稲田駅から徒歩17分
都バス 学02 (学バス) 高田馬場駅ー早大正門
東京さくらトラム (都電 荒川線) 早稲田駅から徒歩5分
学生数:2,622人(全体:38,776人)※2023年5月1日時点
男女比:4:6 ※2023年5月1日時点
学科:国際教養学科
※出典:https://www.waseda.jp/fire/sils/access/ 、https://waseda.app.box.com/s/181q6hd6jwbl1yrs02i5u5p3rtz35yd8
因みに早稲田キャンパスはとても立地が良くて、高田馬場駅からJR 山手線でJR 新宿駅、池袋駅までそれぞれ2駅でつくことが出来ます。他にも東西線で東京駅(大手町駅)まで11分で到着できます。
偏差値と倍率・合格最低点
受験する大学・学部の偏差値や合格最低点は、模試を受ける際や過去問対策をする際の目標値となりますので、対策を始める前に知っておくことはとても重要です。2024年度のデータを表にまとめましたので、ぜひご覧ください。
偏差値 | 70.0 |
倍率 | 3.2 |
合格最低点 | 150.7 |
出典:https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/3190/difficulty/?facultyID=065、https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2024/05/2024_3.pdf、https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2024/05/kekka_240509.pdf
偏差値は受験生全体の2.3%と、かなり高い数字になっています。しかしこれは合格者の50%の偏差値ですので、もし最後まで偏差値が目標に届かなくても、合格できる余地はまだあります。
最低点は年度によって異なりますが、どの年度も150点前後で推移しています (出典:https://yobimemo.com/daigakunyuushi/shidai/waseda-kokusaikyoyo-saiteiten/ )。
試験科目の配点・試験時間
国際教養学部の一般入試における、試験科目ごとの配点・試験時間を解説していきます。表にまとめると以下の通りです。
科目名 | 配点(点) | 試験時間(分) |
共通テスト(必須科目) ※国語 | 50 | ー |
共通テスト(選択科目) ※「地歴(世界史B、日本史B、地理Bから選択)」、「数学(数ⅠA、数ⅡBから選択)」、「理科(物理、化学、生物、地学から1つ選択)」、「情報」から一教科選択 | 50 | ー |
個別試験(英語:Reading+Writing) | 80(内訳は非公表) | Reading:90分Writing:60分 |
英語4技能テストのスコア | 20 | ー |
合計 | 200 | ー |
この通り、国際教養学部は「共通テストの得点」「個別試験」「英語4技能テストのスコア」によって合否が決定します。英語に関する科目だけで100/200点を占めているため、他の科目よりも特に時間をかけて対策する必要があります。
各教科の基本情報
志望校の合格を目指すにあたって、本番で解くことになる試験問題の傾向と対策を知ることはとても重要です。
ここでは個別試験の「英語」の傾向と対策、「英語4技能テストのスコア」の扱われ方を解説します。
英語(個別試験)の傾向と対策
リーディングは例年大問が3つあり、すべて長文読解問題です。
ライティングは近年大問が3つあり、1つ目が提示された問いに対して適切な根拠を示しつつ自分の意見を自由に述べさせる問題で、2つ目がグラフから読み取れる内容を記述させる問題、3つ目に最後に提示された長文を日本語で要約させる問題が出題されています。
英語は多くの大学・学部の入試で一番高い比重を占めており、それに加えて対策するのに一番時間がかかる科目と言う人も多いです。中でも早稲田大学国際教養学部の英語は、他の大学と比べてかなり独特な出題傾向であり、且つ高い難易度を誇っているので、一筋縄ではいきません。
詳細な傾向と対策についてはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
「英語4技能テストのスコア」の扱われ方
「英語4技能テスト」とは、読む(リスニング)、書く(ライティング)、聞く(リスニング)、話す(スピーキング)の4つのスキルを測る試験のことです。
(出典:https://kblog.benesse.ne.jp/digitalmyvision/shinro/012150/ )おそらく一番馴染みがあるのが「実用英語技能検定(英検)」で、他にも「IELTS (Academic)」、「TOEFL iBT」、「GTEC(検定版・CBT)」等があります。
早稲田大学国際教養学部の入試では、一定の条件を満たせばテストの成績に応じて最大20点加点されます。詳しい条件につきましては2024年度版の入試要項P. 15をご覧ください。(※2025年度の入試要項が発行されましたら、そちらをご覧ください。)
オープンキャンパス情報
試験本番は基本的に早稲田キャンパスか戸山キャンパスのどちらかの教室で受験することになるので、下見を行うためや、志望校合格のためのモチベーション向上のために実際に現地に赴くことはとても重要です。
早稲田大学は毎年夏に早稲田キャンパス、戸山キャンパス、西早稲田キャンパス、TWIns(先端生命医科学センター)でオープンキャンパスを開催しています。国際教育学部を第一志望にしている方であれば、早稲田キャンパスのオープンキャンパスに参加することをおすすめします。詳細は公式HP をご覧ください。
他にも地方に住んでいて、東京に直接赴くことができないという方向けに、オンラインでオープンキャンパスに参加することができます。こちらも詳細は公式HP をご覧ください。
4年間の学費と主な学内奨学金
早稲田大学は私立大学なので、文系の国際教養学部でも国公立大学に比べると学費がかなり高額です。ここでは4年間で発生する学費の合計と、主な学内奨学金を表にまとめましたので、ぜひご覧ください。
4年間の学費(2025年度)
第1年度 | ¥1,693,000(うち入学金¥200,000) |
第2〜4年度 | ¥1,690,000 |
合計 | ¥6,763,000 |
※留学に関する費用は別途発生
国際教養学部の学費は他の文系学部と比べて最も高額であることが特徴です。しかし他にも留学が必須となっていることから、さらに費用が発生します。留学先の学費は基本的に大学が負担しますが、留学先の宿泊費や生活費等は自己負担なので、追加で年間70万〜150万円ほど発生します。
(出典:https://www.waseda.jp/fire/sils/applicants/tuition/ )
合計すると国際教養学部を卒業するには、最低で約746万円程度必要です。
ちなみに国立大学の法学部は4年間で約243万円と法令で定められているので 、その3倍以上も高額なことがわかります。
(出典:https://www.hokugin.co.jp/cs/loan/gakushi/contents/001.html )
この通り人によっては相当高額に感じられる金額です。しかし早稲田大学では「学内奨学金」制度によって負担を減少させることができます。詳細は次章で解説しているので、ぜひご覧ください。
主な学内奨学金
前述の通り、国際教養学部の学費は年間約170万円と相当高額に感じる人もいると思います。しかし、早稲田大学は独自の「学内奨学金」を設けていて、そのすべてが返済不要となっています。さらに学外奨学金とも併用できる(学外奨学金の規定によっては不可能な場合もあります)ので、より経済的負担を軽減することができます。
名前 | 奨学金額 | 奨学金支給期間 |
めざせ!都の西北奨学金 | ¥650,000(国際教養学部の場合) | 休学期間を除く4年間 |
紺碧の空奨学金 | ①入学検定料(大学入学共通テストの検定料は除く)および入学金免除②授業料、実験実習料、その他諸経費を全額免除③家賃補助・生活支援金として上限月額9万円 | 正規の在学中4年間まで |
他にも様々な学内奨学金も設けられているので、ぜひ早稲田大学奨学課の公式HPをご覧ください。学外奨学金につきましても該当する奨学金の各公式HPをご覧ください。
カリキュラム
※以下出典:https://www.waseda.jp/fire/sils/about/curriculum/
ここでは国際教養学部のカリキュラムを解説します。国際教養学部のカリキュラムは他の学部にはない二つの特徴があります。
1つ目は、あえて専門分野に特化しない「リベラルアーツ教育」を展開していることです。そのため、学生は自分の興味に応じて専攻を自由に決定できます。
2つ目は日本語を母語とする学生は海外留学が必修であることです。2年生の秋から留学を行い、3年生の春学期まで自らの研究テーマを研究します。留学先は、欧米や東南アジアなど、多彩な選択肢が用意されています。詳しい内容に関しては、大学の説明会等で情報収集を行ってください。
おすすめの資格
英語や簿記などの資格試験は、就活や大学院進学の際に自分の強みを表すのに役に立ちます。さらに司法試験や公務員試験のように、自分の将来を大きく変えるような資格もあります。
ここでは他の学部と比べて、国際教養学部で取りやすい資格を解説します。
英語の検定
英語の資格は、就活や大学院進学の際に自分の英語力をアピールするのにとても有用です。
特に国際教養学部は、英語で講義を受講することが多い上に、海外留学も必須であることから、日常的に英語に触れている学生が多いため、他の学部学科よりも容易に資格を取れる学生が多いと言えるでしょう。おすすめの資格試験はToeicやToeflです。
教員資格
国際教養学部では、中学校の英語の教員になるために必要な「中学校1種免許状・英語」や、高校の英語の教員になるために必要な「高等学校1種免許状・英語」を取得することができます。
必修である海外留学と教職課程を4年の間に履修・修得することは難しく思える人もいるかもしれませんが、計画的に履修・修得すれば可能であるとされています
(出典:https://www.waseda.jp/fire/sils/students/registration/ )
英語が得意な人や、海外留学の経験を活かして教育業に就くことを検討している方にとっては、魅力的な職業かもしれません。
卒業生の主な進路
※以下出典:https://www.waseda.jp/inst/career/assets/uploads/2024/05/ac41a239371385b2d4b5afb2fc2bcb65.pdf
まず大まかな進路を解説します。公式の発表によると、2022年度卒業生の進路は以下の通りです。
進路 | 人数 | 割合 |
就職 | 463 | 72.0% |
進学 | 66 | 10.2% |
資格試験 | 16 | 2.4% |
その他 | 98 | 15.2% |
合計 | 643 |
国際系学部は、民間企業就職に強いことで有名ですが、就職を選択する人は他の学部と比較して意外と少ないようです。国際教養学部は海外の大学院に進学を希望する学生も少なくないため、このような数字になっていると考えられます。
主な就職先
もし学部を卒業した後に就職することを考えているのなら、就職したい業種を予め考えておくとよいかもしれません。そこで卒業生の就職先の業種のグラフを公開したいと思います。
※2023年5月時点
一般的に国際系の学部は専門サービスや商業、メーカーの企業への就職に強いと言われています。早稲田も例外ではなく、グラフを見ると専門サービス業の企業だけでも4人に1人が就職しています。
よくある質問
ここでは受験生からよく頂く質問をまとめました。受験中や入学前は不安なことが色々あると思うので、ぜひご覧ください。
- Qどのくらいから試験勉強を始めましたか?
- A
高校2年生の4月から受験勉強を始めました。より詳しい筆者の受験勉強開始時のエピソードについて気になる方は、こちらの記事(https://www.kame.co.jp/column/column000069-html のURLを添付してください)や、こちらの記事(https://www.kame.co.jp/column/column000073-html のURLを添付してください)をご覧ください。
- Q1日何時間くらい勉強しましたか?
- A
筆者は高校2年生の春から高校3年生の春にかけて平日は1日4時間、休日は7時間ほど勉強しました。高校3年生の夏休みからは更に追い込んで、平日は5時間ほど、休日は10時間程勉強しました。ちなみに早慶に合格するための勉強時間の合計の目安は、約2,800時間と言われています(出典:https://jyuke-labo.com/daigakujyukentaisaku/soukeijouri/ )。
- Qどの科目に重点を置きましたか?
- A
筆者は英語に重点を置きました。殆どの大学学部の入試は英語の比重が大きいので、英語を重点的に勉強することがおすすめです。
- Q学生の雰囲気はどのような感じですか?
- A
良く言うと明るく陽気な人が多いイメージです。もう一つ他の学部に比べてとりわけ外国人留学生が多いというのが特徴です
- Q留学先はどのように決まるのですか?
- A
GPAや語学能力、面接などで決まるようです。詳しい選考方法は公式HPをご覧ください(https://www.waseda.jp/inst/cie/assets/uploads/2024/02/2024-Study-Abroad-Guidebook_JP.pdf )
- Q具体的にどのようなことを勉強するのですか?
- A
友人の話だと、単純に「英語を学ぶ」のではなく「英語で何かを学ぶ」学部なのだそうです。「国際教養」という名前なので、社会科学や人文科学などに関する教養を身につけます。因みに一番印象深い授業は「統計学」だったそうです。
まとめ
今回は早稲田大学国際教養学部の基本情報、各試験問題の傾向と対策、進路について解説しました。
特徴としては英語に特化した学部で、自分で研究テーマを決めることができて、海外留学が必須なところです。もし「語学能力を伸ばして海外で活躍したい」と思っていたり、海外留学に興味を持っていたりすれば、とても魅力的な学部だといえます。
最後に、「第一志望に合格することは簡単なことではない」とよく言われています。筆者も法学部を第一志望に受験勉強をしていた時は、中々上がらない偏差値や過去問の正答率によく頭を悩ませていました。しかし最後まで地道に過去問演習を積み重ねた結果、本番では今までで一番高い正答率で合格することができました。どうか「地道に頑張る」ことを意識しながら、第一志望への合格をつかみ取ってください。筆者は早稲田で待っています。
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