早稲田大学政治経済学部は、早稲田で最も有名で人気のある学部の一つです。設立以来数多くの政治家、実業家、ジャーナリスト、学者などを輩出してきたことでも知られており、卒業生には多くの内閣総理大臣や財界リーダーがいます。
今回は早稲田大学政治経済学部の紹介と、各教科の基本情報、主な進路や受験生の方からよくある質問を、現役早大生(法学部・2年)が解説します。
早稲田大学政治経済学部の基本情報
早稲田大学政治経済学部の基本情報を解説していきます。
設立:1882年
所在地:〒169-8050 新宿区西早稲田1-6-1(早稲田キャンパス・3号館)
アクセス:JR 山手線 高田馬場駅から徒歩20分
西武新宿線 高田馬場駅から徒歩20分
東京メトロ 東西線 早稲田駅から徒歩5分
東京メトロ 副都心線 西早稲田駅から徒歩17分
都バス 学02 (学バス) 高田馬場駅ー早大正門
東京さくらトラム (都電 荒川線) 早稲田駅から徒歩5分
学生数:3,773人(全体:38,776人)※2023年5月1日時点
男女比:7:3 ※2023年5月1日時点
学科:政治学科・経済学科・国際政治経済学科
※出典:https://www.waseda.jp/fpse/pse/access/ 、https://waseda.app.box.com/s/181q6hd6jwbl1yrs02i5u5p3rtz35yd8
因みに早稲田キャンパスはとても立地が良くて、高田馬場駅からJR 山手線でJR 新宿駅、池袋駅までそれぞれ2駅でつくことが出来ます。他にも東西線で東京駅(大手町駅)まで11分で到着できます。
偏差値と倍率・合格最低点
受験する大学・学部の偏差値や合格最低点は、模試を受ける際や過去問対策をする際の目標値となりますので、対策を始める前に知っておくことはとても重要です。
政治経済学部は学科によって偏差値や倍率などが異なるため、注意してください。
2024年度のデータを学科別に表にまとめましたので、ぜひご覧ください。
偏差値 | 倍率 | 合格最低点 | |
政治学科 | 67.5 | 2.9 | 147.5 |
経済学科 | 70.0 | 3.1 | 150.0 |
国際政治経済学科 | 67.5 | 2.2 | 148.0 |
出典:https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/3190/difficulty/?facultyID=005 、https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2024/05/2024_3.pdf、https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2024/05/kekka_240509.pdf
この3つの学科の中では、経済学科が最も競争が激しいことがわかります。したがって経済学科を志望している方は、他の受験生と比べてより入念な対策が必要になります。
合格最低点について、早稲田大学は素点に対して独自の操作を加えることで、選択科目の難易度の差などを調整しているため注意が必要です。詳細は次章で解説しているので、ぜひご覧ください。
合格最低点に関する注意点
大学から公表されている「合格最低点」は素点ではなく、成績標準化後の得点なので過去問等で自己採点をする際は注意してください。
「成績標準化」とは早稲田大学公式によると「科目間の難易度の差による有利・不利をなくすこと、各試験教科の配点ウェイトを合計点に適切に反映することを目的として、標準化等による得点調整を行う」ことをいいます。政治経済学部はこの得点調整を、どの学科でも「共通テスト」の「外国語」に適用しています。
試験科目の配点・試験時間
ここでは政治経済学部の一般入試における、試験科目ごとの配点・試験時間を表にまとめました。
政治経済学部の「一般選抜」は「共通テスト」と「個別学力試験」の併用となっています。つまり国公立大学のように、一次試験と二次試験を別々に行うことになります。
課される科目はどの学科も共通しています。
科目名 | 配点(点) | 試験時間(分) | |
共通テスト | 国語 | 25 | ー |
数学(数ⅠA) | 25 | ー | |
外国語(英語・ドイツ語、フランス語) | 25 | ー | |
選択科目(地歴、公民、数学、理科から一つ選択) ※地歴は「日本史B、世界史B、地理B」から一つ選択。 ※公民は「現代社会、倫理、政治経済、倫理・政経」から一つ選択。 ※数学は「数ⅡB」を選択。 ※理科は「物理基礎・化学基礎・生物基礎・地理基礎」から二つ、もしくは「物理・化学・生物・地学から」一つ選択。 | 25 | ー | |
個別学力試験 | 総合問題 | 100 | 120 |
合計 | 200 |
「総合問題」の基本情報
志望校の合格を目指すにあたって、本番で解くことになる試験問題の傾向と対策を知ることはとても重要です。
ここでは個別試験の「総合問題」の基本情報のみ解説します。共通テストで課される科目について、この記事では掲載しません。
「総合問題」とは、複数の教科にまたがって出題される問題のことです。例えば、英語の長文問題の中に医療や数学的知識、国際問題などに関する内容の英文が出題されるなどが挙げられます。対策の仕方に癖があるため、一筋縄ではいきません。
(出典:https://www.homemate-research-college.com/useful/glossary/00152/3432301/ )。
例年大問は全部で3つあって、1つが総合問題(現代文)、残りの2つが総合問題(英語)となっています。
Ⅰ:現代文
Ⅱ:英語(長文問題)
Ⅲ:英語(自由英作文)
詳細な傾向と対策についてはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
オープンキャンパス情報
試験本番は基本的に早稲田キャンパスか戸山キャンパスのどちらかの教室で受験することになるので、下見を行うためや、志望校合格のためのモチベーション向上のために実際に現地に赴くことはとても重要です。
早稲田大学は毎年夏に早稲田キャンパス、戸山キャンパス、西早稲田キャンパス、TWIns(先端生命医科学センター)でオープンキャンパスを開催しています。政治経済学部を第一志望にしている方であれば、早稲田キャンパスのオープンキャンパスに参加することをおすすめします。詳細は公式HP をご覧ください。
他にも地方に住んでいて、東京に直接赴くことができないという方向けに、オンラインでオープンキャンパスに参加することができます。こちらも詳細は公式HP をご覧ください。
4年間の学費と主な学内奨学金
早稲田大学は私立大学なので、文系の政治経済学部でも国公立大学に比べるとかなり高額です。ここでは4年間で発生する学費の合計と、主な学内奨学金を表にまとめましたので、ぜひご覧ください。
4年間の学費(2025年度)
第1年度 | ¥1,292,000(うち入学金¥200,000) |
第2〜4年度 | ¥1,281,000 |
合計 | ¥5,135,000 |
結果的に最低でも4年間で約514万円発生することになります。ちなみに国立大学の経済学部は4年間で約243万円と法令で定められているので、その2倍以上も高額なことがわかります。
この通り人によっては相当高額に感じられる金額です。しかし早稲田大学では「学内奨学金」制度によって負担を減少させることができます。詳細は次章で解説しているので、ぜひご覧ください。
(出典:https://www.hokugin.co.jp/cs/loan/gakushi/contents/001.html )
主な学内奨学金
前述の通り、政治経済学部の学費は年間約130万円と相当高額に感じる人もいると思います。しかし、早稲田大学は独自の「学内奨学金」を設けていて、そのすべてが返済不要となっています。さらに学外奨学金とも併用できる(学外奨学金の規定によっては不可能な場合もあります)ので、より経済的負担を軽減することができます。
名前 | 奨学金額 | 奨学金支給期間 |
めざせ!都の西北奨学金 | ¥450,000(政治経済学部の場合) | 休学期間を除く4年間 |
紺碧の空奨学金 | ①入学検定料(大学入学共通テストの検定料は除く)および入学金免除②授業料、実験実習料、その他諸経費を全額免除③家賃補助・生活支援金として上限月額9万円 | 正規の在学中4年間まで |
※応募条件や、募集人数、選考内容等の詳細事項は、各奨学金の公式HPを参照してください。
他にも様々な学内奨学金も設けられているので、ぜひ早稲田大学奨学課の公式HPをご覧ください。学外奨学金につきましても該当する奨学金の各公式HPをご覧ください。
カリキュラム
ここでは政治経済学部のカリキュラムを解説します。「政治学科」「経済学科」「国際政治経済学科」それぞれの特徴に沿った魅力的なカリキュラムが用意されています。
※以下出典:https://www.waseda.jp/fpse/pse/applicants/curriculum/
政治学科
政治学科では、社会制度や理論・歴史や思想・地域や国際関係などに関する専門的な知識を身につけられます。
また、数理的あるいは経験的分析手法の習得のための分析手法や方法論の科目を必修としています。したがって政治学科でも統計学を学ぶため、数学を勉強することが特徴の一つです。
経済学科
経済学科の特徴は、統計リテラシー、経済理論の応用力、データ解析能力やコミュニケーション能力を高いレベルで習得することができることです。
したがって、主に経済学だけでなく統計やデータ解析に関する学問も学ぶことになります。
国際政治経済学科
国際政治学科は、政治や経済の関係性について、国際的な視点から研究することを特徴としています。
そのため政治学、経済学、公共哲学に加えて分析手法や方法論をバランスよく学びます。
「方法論」「公共哲学」とは
ここまでで「方法論」や「公共哲学」などおそらくほとんどの人にとっては聞き馴染みのない単語が多く登場したので、解説していきます。
まず「方法論」とは「学問の研究方法そのものを論理的に考察し、真理を得るための妥当な方法を探求する分野」のことを言います。つまり「学問」に対してではなく、「学問を研究する方法」自体に着目して研究することから、「方法論」と呼ばれています。例えば美味しい料理を作るとき、「料理の味」自体を研究するのではなく、「プロの料理人がどうやって調理したら美味しい料理ができるのか」を研究することによって、美味しい料理を作る方法を見つけるということです。
(出典:https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%96%B9%E6%B3%95%E8%AB%96/ )
次に「公共哲学」とは「哲学、政治、経済、その他もろもろの社会現象を公共性という観点から統合的に論考する学問」と定義されています。
(出典:https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2008pdf/20080118012.pdf )。つまり社会現象等を「公共性」と紐付けて考えることをいいます。早稲田大学のシラバス検索システムで「公共哲学」と検索するといくつか講義がヒットします。
が、「公共哲学」という講義のシラバスを見てみると、「社会保障」や「フェミニズム(女性解放思想。男女平等と強い関連がある)」、「デモクラシー(民主主義)」について論じられているようです。(出典:https://www.wsl.waseda.jp/syllabus/JAA101.php )
おすすめの資格
英語や簿記などの資格試験は、就活や大学院進学の際に自分の強みを表すのに役に立ちます。さらに司法試験や公務員試験のように、自分の将来を大きく変えるような資格もあります。
ここでは他の学部と比べて、政治経済学部で取りやすい資格を解説します。
日商簿記検定(2級以上)
簿記は、企業の経営活動を記録・計算・整理して、企業の経営成績と財政状態を明らかにする技能で、この習得度を測るのが、日商簿記検定試験です。
(出典:https://kentei.tokyo-cci.or.jp/boki/about/ )3級から1級までの三段階の難易度があります。就職活動などで履歴書に記載してアピールポイントにしたい場合は、2級以上を取ることが目安となります。
政治経済学部は選択科目として会計学について学ぶ科目があるので、他の学部と比べて有利になる可能性があります。
公認会計士試験
「公認会計士」は企業等の監査・会計のプロです。企業から独立した立場で「監査証明」をすることが主な業務内容で、他にも「会計」「税務」「コンサルティング」を業務とする公認会計士もいます。
(出典:https://jicpa.or.jp/cpainfo/introduction/about/ )
公認会計士試験は「司法試験」「医師国家試験」に並んで「三大難関国家資格」の一つとされていて、難易度はかなり高いと言われてます。したがって、合格するには予備校などに入って、試験対策を早期から始める必要があります。
政治経済学部は公認会計士試験で必要な「会計」や「統計学」が設置されていて、中には必修科目となっているものもあるので、他の学部と比べて有利になる可能性があります。
英語の検定
英語の資格は、就活や大学院進学の際に自分の英語力をアピールするのにとても有用です。
特に国際政治経済学科は、英語で講義を受講することが多いことから、日常的に英語に触れている学生が多いため、他の学部学科よりも容易に資格を取れる学生が多いと言えるでしょう。おすすめの資格試験はToeicやToeflです。
統計検定
「統計検定」とは、統計学に関する知識やスキルを証明する全国統一試験です。データに基づいて客観的に判断し、問題解決を行う能力が問われます。
近年、統計に関する知識を持っている学生はとても重宝されています。そこでこの統計検定を持っておくと、就活等の場面でとても有利になる可能性があります。
政治経済学部はどの学科でも統計や数学に関する講義が必修となっているため、他の学部に比べて有利になる可能性があります。
卒業生の主な進路
※以下出典:https://www.waseda.jp/inst/career/assets/uploads/2024/05/ac41a239371385b2d4b5afb2fc2bcb65.pdf
まず大まかな進路を解説します。公式の発表によると、2022年度卒業生の進路は以下の通りです。
進路 | 人数 | 割合 |
就職 | 667 | 83.7% |
進学 | 63 | 7.9% |
資格試験 | 21 | 2.6% |
その他 | 45 | 5.6% |
合計 | 796 |
政治経済学部は就職を意識している人が多いといわれているので、他の学部と比べても就職を選択する人の割合は多いです。
主な就職先
もし学部を卒業した後に就職することを考えているのなら、就職したい業種を予め考えておくとよいかもしれません。そこで卒業生の就職先の業種のグラフを公開したいと思います。
※2023年5月時点
一般的に経済系の学部は金融業の企業への就職に強いと言われています。早稲田も例外ではなく、金融業の企業に5人に1人以上が就職しています。
よくある質問
ここでは受験生の方からよく頂く質問をまとめました。受験中や入学前は不安なことが色々あると思うので、ぜひ見ていってください。
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Q1日何時間くらい勉強しましたか?
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A 高校2年生の春から高校3年生の春にかけて平日は1日4時間、休日は7時間ほど勉強しました。高校3年生の夏休みからは更に追い込んで、平日は5時間ほど、休日は10時間程勉強しました。ちなみに早慶に合格するための勉強時間の合計の目安は、約2,800時間と言われています
出典:https://jyuke-labo.com/daigakujyukentaisaku/soukeijouri/
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Qどの科目に重点を置きましたか?
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A 英語に重点を置きました。殆どの大学学部の入試は英語の比重が大きいので、英語を重点的に勉強することがおすすめです。
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Q学生の雰囲気はどのような感じですか?
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A 大人しい学生とそうでない学生で半分くらいのイメージです。一見チャラそうな人でも、実は中身はそうでもなくて真面目な人がかなり多いです。あと早稲田に進学して驚いたことは、学生の精神年齢が高くて優しい人が多い所ですね。
まとめ
今回は早稲田大学政治経済学部について解説しました。
早稲田大学政治経済学部はどの学科も偏差値が高く、さらに他の学部と比べて難しい試験問題で高得点勝負になっていることから、合格難易度はかなり高いといえます。
しかし近年社会で必要とされている、統計や政治についての知識を学ぶことができるので、将来ビジネスパーソンとして企業等で活躍したい人にとっては、おすすめの学部と言えるでしょう。
最後に、「第一志望に合格することは簡単なことではない」とよく言われています。筆者も法学部を第一志望に受験勉強をしていた時は、中々上がらない偏差値や過去問の正答率によく頭を悩ませていました。しかし最後まで地道に過去問演習を積み重ねた結果、本番では今までで一番高い正答率で合格することができました。どうか「地道に頑張る」ことを意識しながら、第一志望への合格をつかみ取ってください。筆者は早稲田で待っています。
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