夏休みの自由研究に頭を悩ませていませんか。特に、研究の「まとめ」は意外と難しいものです。せっかく面白い研究をしても、まとめ方が悪いとその良さが伝わらず、もったいない結果となってしまいます。
そこでこの記事では、自由研究の「まとめ方」に焦点を当ててくわしくご紹介します。ぜひ参考にして、わかりやすく見栄えのいいまとめにお役立てください。
自由研究のまとめ方【まとめる項目】
自由研究をまとめる際には、ある程度決まった「書くべき項目」があります。これらの項目を外さないようにしましょう。以下にご紹介する順番にまとめるとわかりやすくなります。順に見ていきましょう。
研究のテーマやタイトル
まずは、研究のテーマやタイトルを決めましょう。単に「〇〇について」「〇〇の研究」とするのではなく、「どうして〇〇は✕✕なの?」「知ってびっくり!〇〇のひみつ」など、見た人に「なんだろう?」「内容を知りたい!」と思わせるような表現を工夫しましょう。
研究のきっかけ、研究を選んだ理由
タイトルの次に、研究のきっかけ(動機)を書きます。難しいことを書く必要はありませんが、テーマについて疑問に思ったり気になったりした気持ちを文章にしましょう。ここを明確に書くことで研究内容のブレを防ぐことができるとともに、ふだんからものをよく見ていることが見る人に伝わるでしょう。
予想・仮説
研究を始める前に予想した結果を書きます。予想・仮説を立てることは全ての研究・実験の基本です。予想が当たることが素晴らしいのではなく、予想と違う結果になった時に自分が見落としていたことに気づいたり、新たな発見をしたりすることに大きな意味があります。
調べたこと
疑問を明らかにするために調べたことを、わかりやすく書きます。複数あれば番号をつけて箇条書きにするとよいでしょう。これを書くことで、その後の研究の流れも明確になり、結果も整理しやすくなります。見る人にわかりやすいまとめにするために、大切な項目です。
方法、道具
どのような方法で調べたか、どんな道具を使ったかを、実際の研究の流れに沿って簡潔にまとめます。複数の手順を踏んだ場合は、番号をつけて箇条書きにしましょう。理科系の実験の時は、実際の様子を図や写真を用いて示すとわかりやすいでしょう。
結果
研究や実験の結果をまとめます。研究前に立てた予想と比較して書くとよいでしょう。数値が出るような実験をした場合は表やグラフにし、状態の変化を示す場合は写真や絵で記録しておいたものを示すとわかりやすくなります。
あくまで「事実」だけを書き、感想と混同しないように気をつけましょう。
感想
結果の後に、別項目で感想を書きます。研究をしてみて面白かった点、予想と違って意外だった点などを具体的にまとめましょう。これからの生活に役立ちそうな点や、新たに調べてみたいテーマなど、発展的な感想を書くのもよいでしょう。ただし、だらだらと書かないよう、簡潔さを心がけましょう。
考察
小学生でも高学年なら、結果や感想だけでなく、「考察」を入れるとさらにレベルアップします。考察とは、単に「面白かった」「意外だった」で終わらずに、「どうしてこの結果になったのか」を考えたり調べたりして、自分なりにまとめることです。考察があると研究がいっそう深まり、よい評価を得られることでしょう。
参考にしたもの
研究の際に参考にしたもの、協力してもらった人などを書きます。本であればタイトルと著者名・出版社名、ウェブサイトであればタイトルとURL、協力してもらった人であれば「〇〇博物館 学芸員〇〇〇〇さん」など、所属と氏名を紹介しましょう。
日付、名前
研究をまとめた日付と自分の名前を書きます。日付は、まとめた日とは別に、研究した期間 も「〇年〇月〇日~〇月〇日」のように書いてもよいでしょう。日付や名前を書く位置は自由ですが、冒頭のタイトルの近くに書くのがわかりやすくておすすめです。
今後の課題
プラスアルファの項目として、今後の課題まで書くことができれば、よりよい研究まとめになります。余裕があれば挑戦してみましょう。今回の研究を条件を変えてやってみたらどうなるのか、今回はっきりした結果が出なかったことがあれば次はどんな調べ方があるかなど、次に挑戦できる新しい研究テーマを示すとよいでしょう。
注意点
こちらも応用的な項目ですが、可能なら加えましょう。今回の研究発表を見て他の人がやってみようとした場合に気をつけたほうがよい点を書きます。失敗しやすい点、見逃しやすい点、危険な点などを簡潔に書いておくと、これからやってみようとする人にとってとても参考になるでしょう。
発展研究
上で紹介した「今後の課題」の項目に書いたこと(最初の研究を終えて疑問や興味がわいたこと)を、実際さらに研究・実験してまとめれば発展研究になります。つまり、より深い自由研究をもう一つ重ねて行うことになりますので、高く評価されるでしょう。時間に余裕があれば、ぜひ挑戦してみましょう。
自由研究のまとめ方【何にまとめるか?】
書くべき項目がわかったら、次に「何にまとめるか」を決めましょう。以下に4種類のまとめ方をご紹介しますので、お子さんの研究の内容や学年によって、取り組みやすくわかりやすいまとめ方を選びましょう。
スケッチブックにまとめる
スケッチブックは枚数があるので、次がどうなるのか、紙芝居のように見る人の興味を引くことができます。また、見開きで使えば大きなスペースとなり、迫力あるまとめもできます。紙の厚みもあるので、色ペンなども使いやすいでしょう。ノートと模造紙それぞれの利点をあわせ持ったものです。
使い方のコツとしては、1ページ目に目次を作り、順序だてて整理することが第一です。ページ数を数え、どんな内容をどんな順番で書くか、最後まで計画してから書き始めましょう。また、表紙にも、大きくタイトルを書いたり写真を貼ったりして、他の作品と並んだときに手に取ってもらいやすいよう工夫しましょう。
模造紙にまとめる
初めから終わりまでを一目でパッと見渡せるのが模造紙のよさです。研究内容を壁新聞にまとめる場合や、大きな地図に説明を書き込む場合などは模造紙が向いていると言えるでしょう。逆に、細かい観察日記などはスケッチブックやノートのほうがよい場合もあります。模造紙は自由研究まとめの定番ですが、内容に応じて使いましょう。
模造紙にまとめるときには、まずノートなど小さめの紙にレイアウトを書いてみます。書きたい内容がうまくおさまるか、パッと見てわかりやすいかに気をつけて内容の配置や文字の大小を決め、模造紙に下書きをします。薄い線の入った模造紙を使えば、文字や図をきれいに並べて書けるでしょう。文字ばかり、黒ばかりにならないよう、図や絵、色ペンを効果的に使うとよいでしょう。
ノートやレポートにまとめる
比較的長期間の実験や観察記録など、枚数や項目が多い研究をまとめるならノートやレポート用紙が向いています。スケッチブックと同様に、どんな内容をどんな順番で書くか、最初に計画してから書き始めましょう。各ページでバラバラの書き方をするのではなく、「型」を決め、どのページもそれにあてはめて書くようにすると変化の記録がわかりやすくなります。
また、ノートのページには、無地、罫線、方眼などの種類があります。イラストが多いなら無地、表やグラフが多いなら方眼など、書く内容によって選びましょう。
立体作品にする場合
社会の自由研究として平面地図の等高線をもとに立体地図を作ったり、算数の研究として厚紙やつまようじなどで多面体を作ったりすることもできます。紙にまとめる研究が多い中で、立体は目を引きそうです。さまざまな色を使ってカラフルに仕上げると、さらに見栄えよく仕上がるでしょう。また、単なる工作にならないよう、工夫した点や作ってみてわかったことなどを紙にまとめて添えるとさらによいでしょう。
ただし、立体作品は、紙に比べて持ち運びしにくいのが難点です。学校に持っていく途中で壊れたり汚れたりしないよう、壊れにくくすること、持っていきやすい形や大きさにすることが必要です。特に低学年の場合は、保護者がその点を考えてあげたほうがよいでしょう。
自由研究のまとめ方で考えるポイント
実験や観察は熱心にやったのに、まとめが漠然としていて何を伝えたいのかわからない、という自由研究は意外と多いようです。良いまとめをするために意識すべきことについて見ていきましょう。
何のためにまとめるのか
自由研究をまとめ始める前に、「この自由研究の目的は何なのか?」をしっかり考えるようにしましょう。研究の中で注目すべき変化や新しい発見、意外な結果など、「最も伝えたいこと」をはっきりさせて、それを見る人に伝えようという明確な意識を持ってまとめることが大切です。
どうやってまとめるのか
「何にまとめるか?」の項目でもお伝えしましたが、見る人に伝わる、わかりやすいまとめを書くには、適切な形式・方法を選ぶことが大切です。学校から指定があればそれにしたがうことになりますが、特に指定がないなら、研究内容に合った方法はどれか、よく考えて決めましょう。同じ研究でも、まとめ方が違うだけで見た時の印象は大きく変わります。
最終的な出来上がりのイメージをもつ
観察や実験をやり終えてからまとめ方を考えるのでは、よいまとめはできません。テーマを考える時点で、最後にどんなまとめ方をするかイメージをしておきましょう。そうすれば、「ここで写真を取っておいた方がいいな」など、まとめのためにやっておくべきことが研究の途中でわかるので、後で役立ちます。
自由研究のまとめ方のコツ
小学生の自由研究は保護者が関わることが多く、うっかりするとお子さんの気持ちを置きざりにした保護者主体の研究になってしまうことがあります。そうならないために、高学年・低学年それぞれによいまとめをするコツを見ていきましょう。
高学年の場合(4年生〜6年生)
小学生でも高学年になると、好きなこと、やりたいことの個性がはっきりしてきます。また、情報の集め方、まとめ方も、さまざまなやり方でできるようになります。できるだけ個性や自主性を尊重し、お子さんが熱中して楽しめる研究であることが一番です。そうすれば、研究前の予想や研究後の考察もより深いものになり、よいまとめができるでしょう。
低学年の場合(1年生〜3年生)
低学年のうちは、まだ難しいまとめはできません。特に1年生は、観察したことを絵に描いて、簡単な見出しをつけるだけでも十分です。2,3年生も、画用紙で数枚、模造紙で1枚以内の量をめやすとし、短期間で達成感が味わえるまとめにしましょう。お子さんが「自由研究って楽しい!面白い!」と思って取り組めることが一番大切です。
まとめ
小学生の自由研究のまとめ方について、項目の立て方や考えるポイントなどをくわしくお伝えしました。研究の流れやまとめ方がイメージできたでしょうか。
少し手間のかかる自由研究ですが、お子さんの学ぶ意欲を引き出し、これからの社会で必要とされる思考力・判断力・表現力を養う、絶好のチャンスでもあります。親子で楽しむ気持ちで関わり、「楽しかったね!」と思い出に残る自由研究になるとよいですね。
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