「部活が内申点に影響するのか知りたい」「部活をやっていると受験に有利になるのか気になる」などの疑問を抱えている受験生も多いのではないでしょうか。
この記事では、部活動は内申点にどのように反映されるのかを「総合的に判断する際の資料とする」場合や「顕著な成績がある場合は加点」といった場合にはどのように判断されるのか、さらに部活をやめた場合に内申点に影響があるのかどうかについて詳しくご紹介します。
部活は内申点にどのように反映されるのか
部活動の内容は、受験の際に中学校が高校に提出する内申書(調査書)に記載されます。
しかし、その内容が受験の合否に関わるほど影響するのかといった程度については、都道府県によって違いがあります。
まずは、自分が住んでいる県では部活動がどのように内申書に反映されるのかを確認することが大切です。
また、内申書は部活だけでなく、普段の学校生活や学習態度、学業成績、生徒の長所など、さまざまなことが評価されて記載されることも覚えておきましょう。
文部科学省による調査
部活の記録を入試で評価する地域がどの程度あるのかを、文部科学省が2021年の夏に調査しています。その結果、33の道府県では公立高校の一般入試で部活の記録を評価対象とすることがわかりました。
そのほか、14の都府県は評価対象としない場合や学校によって異なるといった回答をしています。
「総合的に判断する際の資料とする」地域
北海道、宮城県、山形県、茨城県、栃木県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県
「顕著な成績がある場合は加点とする」地域
埼玉県、佐賀県
「その他」の地域
青森県、岩手県、秋田県、福島県、群馬県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、三重県、大阪府、兵庫県、熊本県、沖縄県
東京は「評価の対象としない」
東京都は、一般入試においては部活を評価対象とはしていません。入試の際の合否は、受験当日のテスト結果(学力検査)および内申書に記載される中学校3年次の9教科の成績で判断されます。
そのため、一般入試での受験を考えている場合には、それほど部活動での成果は気にしなくて良いでしょう。
「総合的に判断する際の資料とする」とはどのように判断されているのか
文部科学省の調査のなかで、47都道府県のうち31の道府県が、入試において部活動を「総合的に判断する際の資料とする」と回答しています。部活動を「総合的に判断する」とは、どのようなものなのでしょうか。
パターンはさまざま
「総合的に判断する」といっても、さまざまなパターンがあります。たとえば、福岡県などでは「学力検査+内申書で6割の合格者を決めた後、残り4割については部活を含めた内申書の記載内容も評価対象にする」としていることが特徴です。
学力検査と内申書で十分に合格できる力があれば問題ありませんが、学力検査の当日に思ったような点数が取れなかった場合でも、部活動の頑張りによって合格できる可能性もあります。
また、愛知県などでは「部活動を含めた内申書の記載と学力検査、面接などをもとに総合的に判断」するとしています。
こちらは、部活動も評価対象となりますが、あくまで判断材料のひとつであるため、普段の勉強や学力検査、面接をバランスよく対策する必要があります。
住んでいる地域ではどのような基準が設けられているのかを確認しておきましょう。
「顕著な成績がある場合は加点」とはどのように判断されているのか
文部科学省の調査で、埼玉県と佐賀県の2県は、入試において部活動を「顕著な成績がある場合は加点」すると回答しています。
「顕著な成績」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。埼玉県と佐賀県について、それぞれ解説します。
埼玉県の場合
埼玉県の場合は、学校ごとに選抜基準が決まっています。たとえば、部活動の県大会で優勝したり、全国大会に出場したりした場合に評価される学校もあります。また、部活動で部長を務めた経験が加点されるケースもあります。
部活動以外にも、生徒会長やクラス委員長を務めた場合、もしくは英語検定の資格があることが評価される場合など、さまざまな基準が定められています。
埼玉県に住んでいる場合は、自分が目指す学校がどのような選抜基準を設けているのかをチェックしてみましょう。学校ごとの基準は、埼玉県のホームページで見ることができます。
佐賀県の場合
佐賀県の場合は、部活動は県や市の大会で良い成績を収めた場合や、顕著な成績を残した場合に加点するとしています。
その加点の度合いは学校ごとに異なります。受験する学校がどのような配点をしているかを確認しましょう。
また、入試の合否は内申書、学力検査、実技検査(実施校のみ)、面接の結果などと合わせて判断されるため、バランスよく対策することが大切です。
部活をやめても影響はない
部活は、勉強や行事とともに中学校生活の大きな部分を占めますが、「顧問の先生やほかの部員と合わない」「練習が思ったより大変だった」などの理由から、やめたいと感じることもあるでしょう。ここでは、部活をやめても内申点に影響がないのかどうか解説します。
部活をやめても内申点が下がることはない
部活を途中でやめても内申点に影響はありません。東京都のように、そもそも部活が評価の対象とならない場合もあります。
また、評価の対象となる場合でも部活をやめたことが内申書で不利に書かれることはありません。
無理をしてまで部活を続けて、勉強に力が入らなくなってしまっては本末転倒であるため、やめたいと思ったらまずは一度親や顧問の先生に相談してみましょう。
まとめ
この記事では、部活動は内申点にどのように反映されるのか、都道府県によってどのような違いがあるのか、そして部活をやめた場合に内申点に影響があるのかどうかなどについてご紹介しました。
部活動は、趣味の幅が広がったり、中学校生活で新たな友人や思い出ができたりと、楽しいことが多くあります。
しかし、内申点にそれほど大きく影響しない都道府県も多く見られます。部活動は無理をせず、できる範囲で続けてみてください。