中学校で学ぶ9科目の成績を5段階評価で点数化した内申点は、高校受験のときに学校が高校に提出する内申書に記載され、合否の重要な判断材料となります。
内申点のもととなる成績は、日ごろの学習態度や提出物なども影響するため、早めの対策が大切です。
この記事では、高校受験における内申点の計算方法や、素内申と換算内申の概要、さらに、なぜ内申点が大切なのかということについて紹介します。
東京都の内申点の計算方法
内申点の計算方法は、学年や範囲、都道府県によって異なることが特徴です。
たとえば、中学1年生から3年生までの成績が対象となる場合もあれば、中学3年生だけの成績が対象となることもあります。
ここでは、東京都の内申点の仕組みや計算方法を紹介します。
東京都は中3の成績のみが対象
東京都の内申点は、中学3年次の成績のみが計算対象です。
一般入試(学力検査に基づく選抜)の場合、学習する9科目の成績を5段階評価し、それをもとに内申点を計算します。
ここで注意が必要なのは、「主要5教科(国語・数学・英語・理科・社会)」と「実技4教科(音楽・美術・技術家庭・保健体育)」において算出方法が異なる点です。
主要5教科の内申点は単純に合計で決まりますが、実技4教科は合計×2で計算します。
たとえば、9教科の成績がオール3だった場合は、以下のような計算です。
・主要5教科:5教科×3=15点
・実技4教科:4教科×3×2=24点
そのため、内申点は主要5教科と実技4教科を合わせて39点です。
副教科の重要性
上記の通り、東京都の内申点は実技4科目が2倍で計算されるため、これらの副教科の成績を上げることが非常に重要です。
そのため、副教科の評価を「1」上げると、合計の内申点は「2」上がります。
苦手な実技教科がある場合は、定期テストで良い点を取り、実技部分を補うことを意識しましょう。
たとえば、体育が苦手であれば、知識やルールなどが問われる定期テストで結果を出すなど、少しでも良い評価につなげる努力が大切です。
素内申点と換算内申点とは?
続いて、素内申点と換算内申点について解説します。
都立高校の入試においては、素内申点と換算内申点の2つがあり、その計算方法と利用される入試の違いが特徴です。
目指している高校の入試形式には、どちらの内申点が関わってくるのかを把握しておきましょう。
素内申点とは?
素内申点は、9教科の5段階評価の数字をそのまま合計した点数です。
たとえば、9教科の成績がオール3だった場合は、9教科×3=27点となります。素内申点の満点は45点です。
素内申点は、主に都立高校の推薦入試で利用されることが一般的です。どの教科も平等に扱われるため、幅広く良い成績を取ることが大切です。
換算内申点とは?
換算内申点は、9教科のうち一部に加点して計算した点数です。
都道府県により計算方法は異なりますが、東京都の場合は、主要5教科の内申点はそのまま合計し、実技4教科は合計を2倍して計算します。
たとえば、9教科の成績がオール3だった場合は、以下のような計算となります。
●主要5教科:5教科×3=15点
●実技4教科:4教科×3×2=24点
内申点は主要5教科と実技4教科を合わせて39点です。換算内申点の満点は65点です。
換算内申点は、主に都立高校の一般入試(学力検査に基づく選抜)で利用されることが多くなっています。
なぜ内申点が必要なのか?
ここまで、東京都の内申点の計算方法や異なる2つの内申点について、具体的な数字を使って解説しました。
ここからは、高い内申点を取っておくことの大切さに加え、入試における内申点の換算方法についても紹介します。
高校入試の合否に影響
東京都の都立高校の一般入試は、「学力検査の結果+内申点」で合否が決まります。
学力検査の結果と内申点は、平成28年度以降、原則として7:3の比重です。
合否は、1000点満点で評価され、学力検査(当日のテスト)が700点満点、内申点(内申書・調査書)が300点満点となっています。
また、令和4年度からは、ESAT-J(東京都中学校英語スピーキングテスト)の点数も加算されています。ESAT-Jは20点満点のため、総合得点は1020点満点です。
英語スピーキングテストの結果も重要ですが、合否の判断材料となる割合は低くなっています。
一方、内申点は総合得点の3割を占めるため、良い内申点を獲得しておくことが大切です。
内申点の換算方法
先述の通り、都立高校の一般入試では、換算内申点が用いられます。
換算内申点を上記の内申点300点満点に換算するためには、以下の計算式を使います。
・(自身の換算内申点)÷65点(換算内申点の満点)×300点
たとえば、成績がオール3だった場合、換算内申点は39点であり、以下のように算出されます。
・39点÷65点×300点=180点
180点が入試における300点満点の内申点となり、学力検査の結果や英語スピーキングテストの結果と合わせて合否の判断材料となります。
内申点を獲得しておけば高校合格の後押しに
都立高等学校の一般入試の合否は「学力検査の結果+内申点」で決まることが特徴です。
そのため、入試当日、緊張などで目指していた点数が取れなくても、内申点が高ければ十分に合格できるチャンスがあります。
しかし、一般入試において学力検査得点の割合が高いことは変わりません。
内申点が良いからといって学力検査の対策が疎かになってしまっては本末転倒です。入試当日のテストでも十分に結果が出せるように勉強しておきましょう。
まとめ
この記事では、高校受験における内申点の計算方法や素内申と換算内申の違い、なぜ内申点が大切なのかということについて紹介しました。
都立高校の一般入試でも、内申点は総合得点の3割を占めます。
そのため、たとえ学力検査でベストの力が出せなかった場合でも、高い内申点を獲得しておけば、合格できるチャンスは十分にあるでしょう。
内申点は、短期間で上がるものではありません。日々の授業態度や定期テストの結果が総合的に判断され成績がつくため、コツコツと努力を積み重ねることを意識してみてください。