早稲田大学法学部 英語の配点と制限時間・出題形式について
英語はどの大学学部でも大きな比重を占めていることが多いです。そして、その対策をするにあたって、出題形式を知ることは必須です。ここでは入試における英語の配点と制限時間・出題形式について解説します。
配点と制限時間
早稲田大学法学部は英語、国語、社会or数学の3教科全体で150点満点となります。英語の配点は60点、つまり三教科の中で一番比重の大きい科目です。試験時間は90分と、多くの受験者がかなり少ないと感じる設定です。
ちなみに筆者の本番時、全部解き終えて3分しか時間が余らなかったので、マークミスがあるかどうかくらいしか見直しができませんでした。
出題形式
年度によって多少変化しますが、例年7~8題程です。長文読解が2問、文法・語彙・空欄補充が3~4問程、自由英作文が2題出題されています。
Ⅰ・Ⅱ:長文読解
Ⅲ~Ⅴ:文法・語法・空欄補充
Ⅵ~Ⅶ:自由英作文
長文読解の傾向と対策について
長文読解は、基本的にどの入試問題でも出題されるので、英語の中で一番重要な要素だとみなす人もいます。同時に対策が難しいセクションでもあります。英語の中では一番対策に時間がかかるものです。
傾向
早大入試の中でも、法学部の英語は難しいと評判です。1題ごとに概ね1000単語以上の超長文が出題されて、2つ合わせて2000~2500単語になると言われています。したがって高い速読力と集中力が求められます。2題とも論説文が多いですが、年度によっては片方で小説や随筆が出題されることもあります。つまり論説文が毎年必ず1題は出題されるということです。
例年主に内容説明、内容真偽、要約、空欄補充、単語の意味を答えさせる問題が出題されます。加えて他の大学学部とは異なり、アクセント・発音問題が出題されるため注意が必要です。しかし2023年度のみは出題されなかったので、今後も年度によっては出題されない可能性もあります。
対策
読解力・速読力を身につけよう
法学部の長文読解は特に難易度が高く、かつ単語数も多いため、読解力のみならず速読力も必要です。筆者はとにかく問題演習・過去問演習を積み重ねることによって鍛えました。いきなりこれを解くことは難しいと思うので、段階を踏みましょう。まずはそこまで高度な読解力を必要とせず、単語数の少ない問題から解いていきましょう。そしてある程度慣れてきたら、法学部のみならず、他の学部や同じくらいの難易度を誇る慶應義塾大学の過去問にも挑戦してみましょう。
語彙力を身につけよう
法学部の長文は語彙のレベルが高いので、かなり高い語彙力が求められます。自分は『ターゲット1400』(旺文社)で基礎的な単語を身につけた後、『ターゲット1900』・『英検準一級 でる順パス単』(旺文社)で発展的な単語に取り組み、『速読英単語 上級編』(Z会)でよりマイナーな英単語を身につけました。英熟語の対策も不可欠で、『ターゲット1000』(旺文社)を使って対策しました。個人的に英熟語に関しては、この1冊で十分だと思います。
とにかく過去問に触れよう
法学部の出題形式はかなり独特なので、この形式に慣れる必要があります。少なくとも10年分は解きましょう。余力があれば、現在の形式になったのは2004年度からなので、18年分すべて解いてみると尚良いです。
文脈から単語の意味を推測する力を身につけよう
長文問題の最後に指定された単語の意味を選択させる問題があります。予め知っている単語が出題されることもありますが、多くの場合一般的に使われる単語帳には掲載されていないくらい難しい単語が出題されます。そういう場合は文脈から意味を推測できる能力が不可欠ですので、先述の『速読英単語 上級編』(Z会)を使用するか、問題演習を通して身につけていきましょう。
単語のアクセント・発音には法則性がある
単語帳に登場するすべての単語のアクセント・発音を一つ一つ覚えていくのもまた一つの手段ですが、これらにはある法則性があります。YouTubeの解説動画や英文法問題集におまけとして収録されている部分から勉強しましょう。
ちなみに筆者はこの対策をする時間が無かったので、無対策で挑むことになりましたが、先述の通りアクセント問題が奇跡的に出題されなかった年だったので何とかなりました。しかしこれが出題されていたらと思うと、対策は不可欠だったなと悔いています.。知っていれば必ず解けるはずなので、読者の皆様はきちんと対策しましょう。
文法・語法問題の傾向と対策について
文法・語法問題は法学部の英語の中で一番対策しやすいセクションと言っても過言ではありません。ですのでしっかりと対策して、確実に得点できるようにしましょう。
傾向
難易度は比較的高いといわれています。特に文法的な誤りを指摘する問題は、誤ったままでも文意が通るようになっており、問題によってはすべて正しいこともあるので、確実な知識力を問われています。空欄補充はイディオムや前置詞に関する知識を問うている問題が多いため、ここでもまた文法に関する幅広い知識を求められています。
対策
文法問題集を確実にこなそう
文法問題を対策するのに、問題集は必須です。筆者は『ネクステージ』(桐原書店)を10周くらいして丸暗記した上で、更に難易度の高い『英文法ファイナル問題集難関大学編』(桐原書店)を使って対策しました。
過去問や模試を利用しよう
文法問題集でカバーされていない問題は、過去問や模試で間違えた都度ノートにメモをして、「自分だけの文法問題集」を作成しましょう。定期的に復習することによって、かなりの効果を得ることができるでしょう。
自由英作文の傾向と対策について
自由英作文は恐らく法学部の問題の中で一番対策しづらい問題です。しかし確実に対策すれば十分に得点できるはずなので、難しいからと言って諦めてはいけません。
傾向
難易度はやや難しい程度です。2022年度までは並び替え問題が出題されていましたが、2023年度からは傾向が変わったのか、この2年間両方で「指定された情報を入れながら自由に作文する問題」が出題されています。もう一つは例年画像を見てその内容を詳述させる問題が出題されています。
対策
最後の英作文ですが、例年画像として風刺画が出題されるなど、かなり独特です。普段から見慣れていないと中々その真意を読み解くことが難しいです。ですので、過去問演習を重ねて慣れることが鍵です。
また、明確な解答のない英作文は自分で答え合わせをするのでは限界があります。そこで不安な人は学校の先生か塾の講師に添削をしてもらいましょう。
スランプに陥った時は
数カ月、数年単位になる長い受験生としての期間ですので、スランプに陥ることもあるでしょう。特に自分のように元々まともに勉強したことのない生徒が実力を底上げするタイプの受験(所謂「逆転合格」)だと、ほとんどの場合スランプに陥ることになります。しかし焦らないでください。必ず対処法があって、本番までに解決できれば何の問題もありません。
原点に立ち戻ろう
自分は英語の長文問題でスランプに陥ったとき、自分が持っている中で一番簡単な問題集を解きました。「レベル別問題集」をもう一回解きなおして、また過去問も志望校のレベル順に挑戦していくと、自然とスランプから解放されます。要するに自分が辿ったルートをもう一回辿り直せばよいのです。
よくある質問
- Q英文解釈の勉強はした方がいいですか?
- A
筆者は英文解釈の勉強をせずに本番に臨みました。そもそも英文解釈の勉強が必要な人は、英語の文をSVOCに分けてそれから文意を掴むという、論理的に文章を理解しようとする受験生だと思うからです。筆者は文章をあまり論理的に解釈せず、使われている単語、文法、文章の流れから大まかな意味を特定する読み方だったので、問題演習で経験を積むことによって慣れていく勉強法にこだわりました。
- Q法学部以外の過去問を解くのにオススメの学部はありますか?
- A
まず早稲田の英文に慣れるために商学部の過去問がおすすめです。商学部は早稲田の中で問題自体の難易度が比較的低い方だといわれている(その代わり高得点勝負になるそうですが…)ので、まずはここから攻略することをお勧めします。
法学部に似た出題傾向の学部を解くなら、国際教養学部(Reading)をオススメします。特に長文読解は法学部の出題のされ方と酷似しているので、対策にはうってつけの学部です。
- Q1日どのくらい単語帳で英単語を見ましたか?
- A
一番単語帳を見ていた時期は、300単語ずつ3冊の単語帳を使いました。つまり900語ですね。最初はかなり時間がかかるかもしれませんが、周回するごとに定着度は上がっていくので、最後の方はそれほど時間は掛かりませんでした。
- Q単語帳はどこまで暗記するのがおすすめですか?
- A
『ターゲット1900』ですと、見出しの英単語以外に3つ目、4つ目まで(以下「黒字の意味」)の意味が書かれており、更に派生語まで書かれているのでかなりボリューミーです。ところがこの「黒字の意味」は文章中でそこまで登場することはないので、あまり暗記する必要はないのではないかと考えます。そこで筆者は「赤字の意味」と派生語までは暗記しました。
- Qどの順番で問題を解いていけばいいですか?
- A
最後の自由英作文から回答することがおすすめです。お題に沿った答えをどう英語で表現すればよいのか考えるだけなので、他の問題よりも考える量が少なく、時間もそこまでかかりません。次に文法・語法問題、最後に長文読解を解きましょう。もし自由英作文を解くのに時間がかかる人は、文法・語法問題、自由英作文、長文読解の順に解答しましょう。とにかく一番時間のかかる長文読解は後回しにして、あまり時間のかからない問題から回答していきましょう。時間のかかる問題から先に回答してしまうと、いつまでもその問題について考え続けてしまうので、「長文が解き終わった頃にはもう他の問題が解けないくらい時間がない」なんていうことが発生するかもしれません。
- Q本番時のメンタル調整はどうしていましたか?
- A
自分は「期待しない」を徹底しました。むしろ結果に関してはかなり否定的に考えていました。変に期待してしまうと「その期待を実現しなければ」と変な方向に気張ってしまうので、いらない緊張を引き起こしてしまうと考えていたからです。いらない緊張をなくすことによって程よい緊張感を持って試験に臨むことができました。ちなみに人間は適切な緊張感を持っていると、普段よりも良い結果を残せるそうです。
まとめ
早稲田大学法学部の英語は幅広い範囲から出題されて、かつ難易度も非常に高いです。その上制限時間が短いので、念入りな対策を必要とします。自分が2年間の受験生としての期間を通して、合格できた一番の要因は「過去問演習」だと思います。相当な文量と難易度に対応するためには、どうしても過去問を解いて慣れるしかないと思います。とにかく英単語や文法を暗記するよりも、問題演習を中心に取り組むことがおすすめです。
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