「受験勉強を始めたばかりで何から手をつけていいのか分からない」や「法学部の問題は難しそうだから、どういう対策をすればいいのかもう少し詳しく説明してほしい」という方のために、現役早大生の筆者が、法学部に偏差値40から逆転合格するために実際に辿ったルートを時系列でお伝えします。
高校2年生1学期:英語はまず単語から(偏差値54.6)
自分が大学受験を意識し始めたのは高校1年生の春休み辺りでした。そして実際に受験勉強を始めたのは高校2年生の4月中旬からです。受験勉強を始めるにあたって、何から手をつけるべきなのかわからなかったため、まず目標設定をすることにしました。そこで設定したのが「第一志望:同志社大学法学部法律学科・第二志望:立命館大学法学部法学科」です。これらの大学は高3の11月まで目指し続けることになりました。
自分は基礎から学ぶことが大事だと思ったので、まずは『ターゲット1400』(旺文社)を使って単語を暗記するところから始めました。
そして初めて臨んだ河合塾の『全国統一模擬試験』(以下:「全統模試」)では、英語の偏差値は54.6でした。ちなみにほかの教科があまりよくなかったので、全体の偏差値は45でした。当然どちらもE判定でした。
高校2年生夏:文法問題もしっかりと(偏差値50.7)
ターゲット1400を半分くらい暗記したところで、前回の模試で大きく失点して、苦手意識を持っていた文法問題にも手をつけることにしました。ちょうど学校から『ネクステージ』(桐原書店)が配布されたので、それを使って対策することにしました。
使い方として、1日に100問程度解いて、間違えたところはノートに書き写し、自分で例文を作成することにしました。夏休みのほとんどをそれに費やして、1カ月経過すると友人に問題について詳しく説明できるくらいにまで仕上がりました。
そこまでして臨んだ8月の全統模試では、英語の偏差値が50.7と、前回よりもかなり下がってしまいました。大学受験の厳しさを思い知らされました。勿論同志社大学はE判定です。
高校2年生2学期:単語はしっかりと(偏差値57.8)
ターゲット1400は完璧にこなしました。そのおかげか、模試の難しい長文も徐々に読めるようになっていき、正答率も上がりました。
10月くらいに受けた全統模試は偏差値が57.8と大きく伸びました。
高校2年生冬~3学期:単語・文法がわかるなら問題演習を始めよう(偏差値62.1)
ネクステージも文法・イディオム・単語問題全てわからないものは全部解決し、ターゲット1400を卒業して同社の『ターゲット1900』に乗り換えました。そして更に新しく、『英語長文レベル別問題集 5 上級編』(東進ブックス)(以下:「レベル別問題集」)を使って問題演習を始めることにしました。このおかげで長文問題がさらに解けるようになり、1月に受けた全統模試で偏差値62.1と、ついに60の大台を超えることができました。その上同志社大学の判定はC判定と、初めてE判定から脱却しました。
高校3年生春~1学期:次は熟語から(偏差値58.3)
模試の問題自体のレベルも高くなっていき、さらに受験生の平均レベルもあがってきているので、より語彙力を高めなければいけません。そこで熟語を始めることにしました。熟語の中には、使われているワードから推測することが難しかったり、文法問題からも出題されたりすることから、難関大受験に臨むために不可欠な知識です。
さらに問題演習も強化することにしました。先述のレベル別問題集は仕上げてしまいましたので、更に新しい問題集に手をつけることにしました。『頻出問題集の決定版
出る!出た!英語長文16選 中級編』(河合出版)を使いました。こちらは中級編ですが、難易度が高かったため、難関大対策に有用です。
ここまでして臨んだ5月の全統模試ですが、英語の偏差値は58.3と前回よりも大きく落とす形となりました。
高校3年生夏:偏差値もV字回復(偏差値63.8)
夏休みはまとまった時間が取れるので、高3の中でも一番力を入れて勉強しなければいけません。その上部活を引退して受験勉強に本腰を入れ始めた受験生も参入するため、競争がより激しくなります。したがって予備校の間では「勝負の時期」と呼ばれることも多いです。筆者も1日7〜10時間くらい勉強しました。
問題演習を本格的に
5月の模試が返ってきた6月、「どうして偏差値が4も下がってしまったのか」とかなり悩みました。そこで大問ごとの正答率を見ると、長文がかなり下がっていました。これを受けて単語や文法よりも、問題演習に力を入れることにしました。それから英語の勉強時間のほとんどを問題演習に捧げるようになりました。(夏休みは1日3年分ほど解きました。)
6月からまず手始めに『同志社大の英語』(教学社)に手をつけることにしました。同志社大学の英語は問題自体の難易度が、同偏差値帯の大学の中では低いので(その代わり高得点勝負になる)難関大受験の入門として挑戦することをお勧めします。そして併願先の問題にも対応できるようにするため、夏休みからは関西、関西学院、立命館、明治、青山学院、立教の過去問にも手をつけました。夏休みが終わる頃にはどの大学も合格点をマークできるようになりました。
単語暗記もより本格的に
ターゲット1900を仕上げても、まだ語彙力に不安があったので、別にレベルの高い単語帳を始めました。『英検準一級 でる順パス単』(旺文社)と『速読英単語 上級編』(Z会)を使いました。後者は最後まで完璧には仕上げられませんでしたが、基本的に読めない単語はないというほどにまでなりました。
ついに夏の模試
こうして臨んだ夏休み明けの模試ですが、なんと偏差値63.8という、前回で大幅低下してしまった偏差値を持ち直すどころか、さらに約2ほど上昇させることに成功しました。
高校3年生2学期:突然の志望校変更(偏差値67.8)
志望校変更をしてモチベーションアップ
最後の模試となった10月の全統模試は偏差値67.8をマークし、同志社大学はA判定になりました。しかしこれが原因で志望校変更に対してかなり悩むようになりました。早慶はE判定だったのですが、「もしこれから4ヶ月頑張ればついに目標の同志社どころか更に上の早慶に行くことができるかもしれない」ということと「E判定だし、これからやっても間に合わない上にあこがれだった京都をあきらめることになってしまう」という考えで葛藤するようになりました。1カ月くらい悩んだのですが、「できれば上の大学を目指したい」のと、「このまま無難に受験勉強をだらだらとし続けて、無難に受かるのも面白くない」ということで、ずっと住んでみたかった京都をあきらめることにしました。そして11月から志望校を「第一志望:早稲田大学法学部・第二志望:慶應義塾大学法学部法律学科」に設定し、早慶受験に本格的に乗り込むことにしました。
いよいよ早慶の過去問対策
早慶の問題難易度は相当高いので、まずそのレベルに慣れるために『早稲田の英語』(教学社)と『慶應の英語』(教学社)を解くことにしました。最初こそ目標値に達しないことが何度もありましたが、回数を重ねて慣れていくと目標をコンスタントに超えていくことができるようになりました。
高校3年生冬休み~本番:早慶受験への準備
ひたすら過去問対策
いよいよ冬休みに入って時間ができた頃、法学部の過去問を通しで解くことにしました。赤本に掲載されている5年分は勿論、東進の過去問データベースで入手した2017~2011年度の過去問まで解きました(それ以前の過去問は期間が足りなくて解けませんでした)。最初こそ正答率は半分程度と不合格ラインでしたが、4年分くらい解いた辺りから徐々に正答率が伸びるようになり、最後のほうでは6割半〜7割、特別調子のよい時は7割半まで上がりました。(ちなみに噂によると6.2~3割程度で安全圏だといわれています)
本番前は休憩を
時間が足りないとはいえ、勉強に力を入れすぎて疲労困憊状態で本番には望みたくなかったので、あえて勉強を控えるようにしました。しかし一切勉強しなくなるとこれまでの勘や知識が薄れてしまう危険性があったので、早慶や他の大学の過去問を2年分位は解くようにしました。結果的に勉強時間を3時間ほどに抑えることになりました。
反省点
期間が短すぎる
確かに自分の受験生時代は高2~高3の約2年間で、他の受験生よりも長めですが、実際の早慶受験は3カ月しかありませんでした。あまりにも時間がなかったので、過去問対策が不十分だったのと、一部あまり対策できていない問題がありました。英語だけでも、アクセント問題と自由英作文はほとんど無勉強で、これまでの知識と勘だけで乗り越えてしまいました。その点で危ない綱渡りのような受験だと感じています。
対策自体にブランクを空け過ぎた
自分は高2の夏休みから秋にかけて文法問題を仕上げましたが、そこから徐々におろそかになってしまって、高3の冬には当時の7割くらいしか思い出せないという状況に陥りました。そこで文法問題を思い出す作業が発生して、受験直前にも関わらず時に1日5時間くらい文法書とにらめっこするなんていう日が発生してしまいました。
そこでこの記事を読んでいる読者の皆様には、文法問題の定期的な復習をおすすめします。ただ、もし受験期間が1年くらいと比較的短期な受験に臨んでいるのなら、こういう長いブランクが空いて記憶が飛んでしまうということはおそらく発生しないので、大丈夫だと思います。
典型的な男子高校生が勉強好きに変われた方法
自分は元々学校では課題を最低限こなして、自主学習はおろか定期テストでもほとんど勉強せず、日常では毎日趣味に興じるという、典型的な男子高校生のような生活を送っていました。その上所属していた高校は、国公立や難関私大に合格する生徒が毎年500人前後の中で数%いれば多い方で、中でも早慶合格者は例年0~3人ほどを推移するという、お世辞にも進学校とはいえない高校でした。しかし受験勉強を始めて1年半後の高3冬には、日常生活のほとんどを勉強に費やし、平日では5時間、休日は10時間くらい勉強して、学年でも1位を取れるようになり、早稲田の複数の学部やその他有名私大にも多数合格するくらいにまで変わりました。それ以上に一番変わったことは、勉強好きになったことです。
まずは長時間の勉強に慣れるところから
受験勉強を始めたとき、1時間の勉強すらできない状態でした。しかしそのような状態では目標だった難関大学に合格することはできないことが目に見えていたので、まずは長時間の勉強に順応するところから始めました。
そこで1日30分だけ勉強するようにしました。そして30分勉強に慣れてきて、「このくらいでは足りない」となったら1時間を目標に勉強…。という形で徐々に勉強時間を延ばしていきました。2か月くらいこの訓練(?)をして、ついに6時間勉強(休日)にまで伸ばすことに成功しました。
勉強を楽しもう
自分は元々「勉強なんか何の役にも立たない。国語なんかそこまで読解力はいらないだろうし、英語なんか翻訳機使えば何とかなる。社会はもはや使いどころが見つからない」という、典型的なダメな高校生の考え方でした。ところが徐々にその考え方も変わっていきます。
英語が読めるようになっていくにつれて、模試や過去問の文章は知的好奇心を満たす面白い文章が採用されることが多いことに気付いて、読むことが楽しくなりました。その上現代文の評論でよく言われている通り、グローバル化が進んでいる時代ですので、英語を学ぶことは将来にとって不可欠の要素であることに気付き、より勉強をしたくなりました。
国語に関しては、問題を解いていくにつれて論理的思考力や理解力が鍛えられることに気付いて、「実は国語とは、日本語を学ぶ学問ではなく論理性や読解力という、人間に必要な能力を養う学問」であることに気付いてから、国語の重要性に気づきました。
日本史は、徐々に時代が進んでいくにつれ人間同士のいざこざや、様々な人物の葛藤が描かれていることを学びました。それから日本史の教科書を読む際に、その出来事の背景やドラマを想像しながら勉強することで、モチベーションを維持していました。
つまりその科目が高校のカリキュラムに設定されていること、また大学の入試科目として設定されていることの意味に気付き、さらに興味を持って楽しむことができたので、自分は勉強好きに変わったのだと考えています。
まとめ
英語はまず単語から始めましょう。ある程度暗記してきて、簡単な文章なら難なく読めるようになれば、次は文法を始めましょう。熟語も同時並行的に始めるのが理想です。そしてその3つがある程度完成したら、次は問題演習・過去問演習に入りましょう。両者とも早いに越したことはないのでなるべく早めに着手するようにしましょう。
今この記事を読んでいるみなさんの中で、受験勉強を始めたばかりで全然結果を出せておらず、本番で成功できるかどうか不安になっている人もいることだと思います。自分も当初はとても難関大を目指すレベルには到達しておらず、「自分は同志社大学を目指す」といえば家族や友人から、寝言でも言っているのではないかというような目で見られたものです。しかし常に最高の結果が出るように意識し、最適な手段を求めて勉強し続けた結果、偏差値を当初より30弱も向上させて、同志社大学どころかさらに難関だといわれている早稲田大学に合格することができました。月並みですが、適切な努力をすれば必ず報われます。自分の現状を把握し、目標に少しでも近づけることができたなら、来年の春には早稲田アリーナで学長の式辞を聞けることでしょう。
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