早稲田大学の世界史は、教科書外の範囲から出題されることもあるため、膨大な暗記量が求められる科目です。その上長文論述問題が出題されることでも有名です。
そこでこの記事では、「世界史の偏差値を上げて早稲田大学法学部に合格したい」という受験生のために早稲田大学法学部の入試における世界史の配点、出題形式、各大問ごとの傾向と対策、筆者が実際に法学部に合格するために実践した勉強法を伝授します。
早稲田大学法学部入試における世界史の基本情報
ここでは入試における世界史の配点と制限時間、出題形式について解説します。入試対策をするにあたって、これらの情報は必須です。
配点と制限時間
ここでは配点と制限時間に関して解説します。まず配点ですが、法学部は英語、国語、社会or数学の3教科全体で150点満点です。中でも世界史(社会)の配点は40点で、全体に占める割合は36%と決して低くない割合です。そして時間は60分と、問題数に対して短めに設定されていると言われることもあります。
出題形式
ここでは出題形式について解説します。大問は全部で5つあって、小門34問と長文論述が1問(250~300字)出題されます。長文論述以外はマーク式で、正文・誤文選択問題と、語句選択問題、並び替え問題が見られます。その内、正文・誤文選択問題が約3分の2を占めています。とりわけ長文論述の出来具合が合否を分けると言われています。
傾向と対策について
ここでは難易度・傾向と対策について解説します。一般的に早稲田大学の入試問題はどれも高い難易度を誇っていると言われているので、対策を始めるにあたって予めこれらの情報を得ることは、第一志望合格への近道となるでしょう。
まず難易度について、登場するほとんどの語句は教科書レベル(標準的)です。主に出題される範囲は、長文論述以外は欧米史の比率が高いです。
欧米史は西ヨーロッパとアメリカが中心ですが、年度によっては北欧史の大問が設けられていることもあります。ルネサンスや中世ヨーロッパの政治制度、西洋古代・中世史も出題されるので、網羅的に復習しましょう。
他にも1,2題は東洋史で、中国の前近代の各王朝・時代の政治史が多いので、それぞれの時代の知識を正確に把握しましょう。中国史以外の場合、古代オリエント史やパレスチナ史、ムガル帝国など西・南アジア史が出題されます。
論述問題は250~300字と長めですが、指定語句があるので回答の流れはつかみやすくなっています。近世から現代にかけての政治・外交史が出題されることが多いですが、2019年は例外として叙任権闘争が出題されました。
次に対策について解説します。基礎レベルの知識問題で確実に得点できるように、教科書の内容を網羅的に暗記しましょう。他にも文化や地理の知識を身につけるために、資料集を活用しましょう。
法学部に実際に合格した筆者が実践した勉強法
早稲田大学法学部の問題は、個人的にそれほど難易度は高くなかった印象ですが、論述問題が出題されたり、教科書に範囲を超えたマイナーな用語が出題されたりするので、念入りな対策が必要です。最低でも6割半は得点しましょう。世界史が得意で本番で得点源にしたい人は8割以上、そうでもない人でも7割~7割半を目指しましょう。
選択・記述問題対策
法学部の世界史は基本的な用語が多く出題されますが、たまに教科書に全く記載されていないマイナーな用語が登場することもあります。
基礎的な用語は学校の授業を活用しよう
前述のとおり、基礎的な用語が多く出題されるので、そこを確実に得点を稼いでいきましょう。
筆者は基礎的な用語は、学校で配られたプリントの重要語句等にマーカーを引いて隠して復習しました。
マイナーな用語は用語集等を活用しよう
一番情報量が多くて、やりごたえのある参考書は用語集です。おすすめは『世界史用語集』(山川出版社)か『必携世界史用語』(実教出版)です。ただ情報量が多すぎるので、覚えるべき用語と捨てる(後回しにする)用語の棲み分けをしましょう。
他にも暗記におススメなのが一問一答形式の参考書です。筆者は『世界史B一問一答【完全版】』(東進ブックス)を使いました。★3~1まで重要度順にレベル分けされていますが、自分は★1まで覚えました。苦手な人も★2までは覚えるようにしましょう。
ただ暗記するのみではなく、中国史は漢字まで書けるように、西洋史も細かい表記ミスをしないようにしましょう。
論述対策
前述の通り、世界史には長文論述が出題されます。この論述問題の出来具合が合否を左右するといわれていることもあるので、対策を疎かにしないようにしてください。
教科書の表現を利用しよう
前述のとおり、教科書の内容を理解し暗記することによって時代・地域間の歴史的な流れをつかむことは、法学部の世界史では必須の勉強です。
特に教科書の表現を暗記することが出来れば、論述問題を回答する際にそのまま流用することが出来るので、回答を作る際の”引き出し”を増やすことが出来ます。
添削をしてもらおう
論述の回答は一つのノートに問題と一緒にまとめることにして、全部先生に提出して添削してもらうようにしましょう。
先生から添削が返ってきたら、減点されている箇所を教科書で復習して、誤って覚えていた知識や、理解が不十分だったところ、抜けていた知識を洗い出し、「穴」を埋めていきましょう。
問題と解答を一冊のノートにまとめることのメリットは、あとから時系列順に復習できるし、同じ時代で違う地域(ヨコのつながり)を復習することが出来るところです。
問題演習
問題演習をするときに、ただ正答率ばかり気にするのではなく、「復習」に重点を置くようにしましょう。
問題演習は確かに正解不正解や、正答率にばかり目が行ってしまいがちになります。しかしより重要な要素は「復習」です。もし間違えた問題があったら、一問一答や教科書に印をつけて、後から復習できるようにしましょう。
普通の4択問題、特に正しい説文を選ばせる問題ですと、全ての説文でどうして正しい(誤っている)のか説明できるようにしましょう。
1つの長文にいくつか空欄があって、適切な用語を選ぶ問題の場合、1つの用語から別の出来事を連想していって、一つの時代の流れを想像できるようにする「連想ゲーム」を出来るようになると、より知識が深まっていくでしょう。既に多くの知識が頭に入っている証拠にもなります。
他に意識したこと・反省点
ここでは参考書の使い方や問題演習の詳細な意義だけでなく、他にも気を付けたことや、受験生の時にできなくて今でも後悔していることを解説します。
「タテ・ヨコ」のつながりを意識しよう(タテ編)
タテ・ヨコのつながりは論述問題に取り組むうえで必要な情報です。タテ・ヨコのつながりとは、タテが「同じ地域で時代が違う歴史の流れを押さえる」ことで、ヨコが「同じ時代に地域ごとに何が起こったかを押さえる」ことです。
自分は教科書(『世界史B』東京書籍)を使って勉強していました。教科書は基本的にどれでも大丈夫です。
おすすめの勉強方法は、まず授業で配られたプリントを見て基本事項をおさらいします。次に教科書の該当箇所を音読することで内容を理解し、暗記します。数回こなしていってある程度覚えてきたら、理解できているかどうかの確認として、見ずに解説できるようにしましょう。特に意識して覚えてほしいのは、「5W1H」です。5W1Hとは「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」行ったのかという意味です。これを意識すれば、より強く他の出来事同士の流れをつかむことが出来ます。
「タテ・ヨコ」のつながりを意識しよう(ヨコ編)
世界史を学ぶ上で、地理(地名と位置関係)の把握は時代の流れと同じくらい重要です。
資料集や教科書に掲載されている地図を見て暗記しましょう。暗記する際には地名だけでなく川、山、半島も抑えましょう。特に教科書の最初の方の範囲は、川から文明が始まっていたり、都市がさかえていて歴史的に重要な事件が多く発生していたりするので、こういう自然地形も疎かにしてはいけません。
他にも地名を覚える際に、そこで起きた出来事を把握しつつ、そこがどこかの王朝の首都であることもあるので、それらも意識しましょう。要は地名と歴史を紐づけて覚えるということです。
特に論述では、教科書の表現をそのまま使って回答することが出来るので、大きな武器になります。特に早稲田大学法学部の問題では、論述で特定の範囲の時代の流れを説明させる問題が多く出題されたり、他に選択問題でも時代順に並び変える問題として出題されたりするので、この知識は大きな武器になります。
文化史を重点的に抑えよう
文化史とは、代表的な例で言えば絵画、彫刻、音楽家等です。この範囲は特に受験生が苦手とする分野です。
自分は暗記するために資料集を活用しました。市販のものを書店で買う必要はなく、学校で配られた教材で十分だと思います。
特に文化人については、「名前、時代、主な功績(作品・発明品)」を把握しましょう。
復習の時間を長く取るようにする
自分はとにかく復習の時間を長く取るようにしました。急いで勉強しようとして復習がおろそかになることを避けるためです。具体的には問題演習や論述解答の復習を通して苦手な分野や、知識の穴を埋めていきました。
ヤマを張らない
内容のボリューム的につい、ヨーロッパや中国等の世界史でメジャーな地域を中心に勉強して、アフリカや中南米等のマイナーな地域をおろそかにしてしまいがちです。しかしもしそこが出題されてしまったら、大きな失点につながりかねないと思ったので、ヤマを張らずに、満遍なく勉強するようにしました。
反省点
ここでは受験生の時にやっておけばよかったと後悔していることを紹介したいと思います。読者のみなさんは上の勉強法を念頭に、さらに次の反省点を意識するようにしてください。
タイトルの通り、自分は「もう少し論述問題を解いておけばよかった」と後悔しています。論述は復習をして穴を埋めることについて重要な要素となります。ここをおろそかにしてしまうと、理解が深まらずに失点に繋がることもあります。ですので、受験生の皆さんはこれを反面教師に、数をこなしていくことを意識しましょう。
まとめ
早稲田大学法学部の世界史は、配点が40点で、制限時間は60分と一般的に問題数に対して短めと言われています。大問は全5問あって、細かい内訳は小問34問と長文論述1題です。小問でも、正文・誤文選択問題が3分の2を占めていて、長文問題は250~300字と長めですが、指定語句があるので回答の流れはつかみやすいです。得点調整との関係で、正答率は最低でも6割半、得意な人は8割以上を目指してください。
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