発達障害を抱える子どもが「学校に行きたくない」と感じる、いわゆる「行き渋り」が起きると、保護者の方はどのように対応したら良いのか悩んでしまうと思います。発達障害の特性をもつ子どもは、学校での集団生活や学習に困難を感じることが多く、これが原因で行き渋りが生じる場合があります。ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥・多動性障がい)、LD(学習障害)、それぞれが学校生活に与える影響を理解し、子どもに必要な対応を取ることが大切です。
この記事では、発達障害による行き渋りの原因と、家庭で実践できる対策について解説します。また、早期に対応できるよう行き渋りが起きる兆候についてもお伝えします。
発達障がいによる行き渋りの原因とは?
発達障害を持つ子どもは、学校生活でさまざまな困難に直面することがあり、これが行き渋りの原因となる場合があります。ここでは、ASD、ADHD、LDがどのように行き渋りに影響するかを説明します。
ASD(自閉スペクトラム症)の場合
- コミュニケーションの困難
言葉や非言語のコミュニケーションに難しさを感じやすい - 環境の変化への過敏さ
授業の変更やクラス替えなど、環境の変化に対する敏感さによってストレスを感じやすい - 社会的な交流のストレス
友人関係やグループ活動への参加について負担に感じやすい
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の場合
- 集中力の持続が難しい
授業に集中できず、学習が遅れてしまうことがある - 衝動的な行動によるトラブル
衝動的な行動や多動性により、友人や教師との摩擦が起きやすい - 規則正しい生活の困難
規則正しい生活リズムを保つことが難しく、登校自体が負担となる場合がある
LD(学習障害)の場合
- 学習面での遅れ
読み書きや数学など、特定の学習領域での困難により、授業についていけないストレスを感じやすい - 課題に対するストレス
失敗が重なってしまうと、自己肯定感が低下しやすい - 成績への不安
他の子どもと比較してしまい、自己評価が低下しやすい
行き渋りが起きる兆候とは
行き渋りの兆候は、子どもの心身への影響が大きくなっていく前に発見することが重要です。以下の兆候に気をつけて、早期に対応しましょう。
行動面での兆候
- 学校に行きたがらない言動
「今日は学校がイヤだ」「友達とうまくいかない」など、学校に行くことを拒む言葉が増える - 突然の体調不良
頭痛や腹痛など、身体的な症状として現れる
感情面での兆候
- 不安や恐怖の表現
夜眠れない、常に不安そうな表情を見せる - 気分の落ち込みやイライラ
イライラや悲しみが頻繁に見られる
身体的な兆候
- 睡眠パターンの乱れ
夜更かしや朝の起床が遅くなる、または逆に早朝に目が覚めてしまうなど、睡眠パターンに変化が生じる - 身体症状
頭痛や腹痛などの体調不良を頻繁に訴える
家庭でできるサポート方法
行き渋りが起きた場合、家庭でのサポートが肝となります。ここでは、子どもに安心感を与え、自分に合った生活リズムを取り戻すための方法を紹介します。
1. 安心できる環境作り
- 安定した日常リズムの確立
子どもが安心して過ごせるように、規則正しい生活リズムを整えましょう。また、毎日のルーティーンを作ると、1日の流れが予測できることで安心感に繋がります。 - 子どもが安心して話せる環境の提供
子どもが自由に感情を表現できるよう、安心して話せる時間や場所を家庭内で作りましょう。保護者の意見をたくさん伝えるのではなく、子どもの気持ちに耳を傾けることが大切です。
2. 効果的なコミュニケーション
- 子どもの気持ちを受け止める
「行きたくないんだね」「無理しなくていいよ」「大丈夫だよ」といった共感性のある言葉をかけてあげましょう。自分の不安な気持ちを理解してくれている人が側にいると感じさせ、心の負担を軽くしてあげましょう。 - ポジティブな声掛け
「元気に挨拶ができたね!」「昨日よりここがよくなってるね」「チャレンジできてすばらしいね」といった努力や小さな成功を認めるような言葉をかけてあげましょう。このようなポジティブな言葉で自己肯定感が高まります。
3. ストレス軽減のための工夫
- リラクゼーションの時間を作る
深呼吸やストレッチ、静かな音楽をかけるなど、リラックスできる活動を取り入れることでストレスを軽減させましょう。 - 趣味や興味を通じて自己肯定感を育む
子どもの興味や得意な分野に対して、保護者も興味を示し、「これってどうなってるの?教えて!」などの質問をなげかけてみましょう。自分の好きなこと、興味のあることに対して、周りの人間が興味を示したり、成果に驚いたり、様々な反応があると嬉しいものです。その嬉しさは自己肯定感を高めるきっかけになります。
まとめ
発達障害を抱える子どもは、学校生活の中で困難を感じることが多く、行き渋りの原因となることがあります。行き渋りが起きた際には、早期に適切な対応を行うことが重要であり、間違った対応をとってしまうと長期化してしまうことがあります。行き渋りが起きた際には安心できる環境で子どもの気持ちを受け止める声掛けや、ストレスを軽減させる工夫を行うなど、適切な対応をとりましょう。子どもの自己肯定感を高めてあげることが大切です。