中学受験の勉強はいつから行うべきで、どんなことに注意すればよいのか、中学受験をお考えの方は、気になるところだと思います。
こちらの記事では、「中学受験の勉強を始めるタイミング」や、「その準備」、また、実際に中学受験を経験した方の声をもとに、「中学受験の心構え」や「注意点」などを解説していきます。是非最後まで読んでいってくださいね。
中学受験の勉強はいつからすべきか
中学受験の勉強は、小学3年生の2月から小学校4年生の4月のうちに始めるのが一般的です。
その理由はシンプルで、勉強する範囲も広く、特殊な問題が多くあり、中学受験の基礎〜志望校対策をマスターするためには、約3年間はかかるとされているためです。
中学受験の問題は特殊な問題が多いと言われますが、実態は「中学校で習う内容」です。
なぜ特殊かというと、例えば中学生の数学は主に公式を使って解きますが、中学受験では公式を一切使わずに、四則演算を駆使して解くからです。
中学受験の本番は、地域や学校にもよりますが、関東では小学6年の2月ごろ、関西では1月ごろに始まりますが、試験本番までにこれらを習得するためには、それなりの時間が必要となるため、小学3年生の2月から小学校4年生の4月のうちに始めるのがよいとされているのです。
塾に入るタイミングはいつごろ?
中学受験の進学塾は上述した理由もあり、小学3年生の2月からカリキュラムをスタートさせることが多いです。
カリキュラムについていくためにも、塾に慣れるためにも、この時期から入塾することをおすすめします。
先程、約3年間かけて中学受験に備えると説明しましたが、進学塾の場合どのようなカリキュラムで進んでいくのか、ざっくりと説明します。
学年 | 内容 | |||
---|---|---|---|---|
小学4年生 | 小学校の内容の先取り、基礎固め | |||
小学5年生 | ||||
段々と中学受験の内容に入ってくる | ||||
算数 | 国語 | 理科 | 社会 | |
特殊算や テクニック等を学ぶ | 中学レベルの 文章量に慣れる | 中学校の内容を行う | ||
小学6年生 | 応用問題・志望校対策 |
上図でも分かるとおり、基本的には小学4年生〜5年生の約2年間で中学受験の内容を終わらせます。小学6年生では、主に応用問題・志望校対策を行う時間にあてられます。
もし、途中で入塾した場合はカリキュラムの途中から入ることになるため、他の子が勉強してきた内容に取り組みつつ、塾についていく必要があります。
クラスの雰囲気に慣れていない中でもあるので、お子様の負担は大きいものです。
そのため、入塾される場合は、カリキュラムが始まる小学3年生の2月から入塾することをおすすめします。
小学3年生~4年生で”準備”をし始める2つの落とし穴
これまで、中学受験の勉強を始めるタイミング、塾に入るタイミングは主に小学3年生の2月から小学校4年生の4月をおすすめすると説明してきました。
ここで、中学受験に向けた「準備」のタイミングを説明していきます。
中学受験の「準備」として、いきなり小学3年生〜4年生の段階で入塾される方が非常に多いのですが、これには注意が必要です。
実際の中学受験経験者の声を基に、2つの落とし穴をご紹介致します。
塾に入ることが中学受験の準備ではない
「中学受験の準備としてとりあえず入塾させよう!」「とりあえずこの時期に入塾させられたから一安心」と思う方がいらっしゃいます。
しかし、小学3年生〜4年生の入塾は中学受験の「準備」ではありませんし、入塾がゴールではありません。
中学受験の準備を行うのであれば、低学年の内から、「学習習慣を身につける」「一学年先の勉強を先取りできるレベルまでもっていく」といったことが重要です。
この2つを小学3年生の2月から塾に入ってから取り組んだとしても、お子様のこれまでの生活に塾が加わり、負担をかけるだけになってしまいます。
そして最悪の場合、学習習慣も身につかず、学校の内容もおろそかになり、中学受験自体を諦めてしまうことになりかねません。そんなご家庭が多いのが現状です。
クラス分けの現実
大手進学塾などに入塾すると、基本的に「クラス分け」というものが存在します。
クラス分けとは、生徒の学力に応じた授業を行うために学力別でクラスを分ける塾制度のことです。
初めに、入塾のタイミングで「入塾テスト」があり、学力別でクラスが分かれます。
そこから定期的にテストが行われ、クラスが変わるような仕組みです。
上位クラスでは、塾の広告塔となる生徒を合格させるために、塾に在籍している講師の中で教え方が上手で、人気のある講師が授業をします。
下位クラスでは、経験の浅い新人講師が授業を行うケースが多いです。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この制度だと、最初に在籍したクラスが基準になってしまい、上位クラスに移っていくことは事実上難しい、ということになります。
従って、大手進学塾に入塾したい場合、最初の「入塾テスト」で上位のクラスに入れるように「準備」を進めていく必要があるのです。
ただし、だからといって小学校低学年(小1年〜3年生)の間に入塾することもおすすめしません。小学校低学年の内から入塾し、キャパオーバーになってしまい辞めてしまうケースが多いためです。
それではどのように進めていくのがベストなのでしょうか。
結論からお伝えすると、中学受験の準備を行うのであれば小学校低学年から自宅でしっかりと勉強することをおすすめします。
先程、「学習習慣を身につける」「一学年先の勉強を先取りできるレベルまでもっていく」、この二つが重要だと説明しましたが、もう少し具体的にどんなことを低学年のうちにやらせるのがいいのか。
次の項目で詳しく説明します。
小学校低学年のうちから身につけておきたいこと
上述したとおり、中学受験の内容は、「中学生レベルの問題を、小学生が習う知識でどのように解くか」この一言に集約されます。特に算数は、この言葉が顕著に現れます。
だからこそ、学校の内容をマスターすることと、習慣化を身につけることが重要です。
具体的にどんな内容をやるのがいいか、説明します。
計算・漢字・文章読解
中学受験の専門的な内容を早い段階から行うのではなく、計算や漢字、文章読解などの基礎学力を徹底的に身に着けていくことが重要です。
中学受験で躓くお子様は、この基礎学力が整っておらず、リタイヤしてしまうケースが多く見受けられます。
例えば割り算でいうと、
「6mの紐を3等分するやり方」と「6mの紐を3mずつに分けるやり方」どちらも計算は「6÷3=2」になりますが、単位が異なります。
6mの紐を3等分した場合、答えは2mです。
6mの紐を3mずつに分けた場合、答えは2本です。
この概念が理解できていないまま、中学受験に取り組むお子様は非常に多いです。
足し算は「加える」
引き算は「取る」
掛け算は「集める」
割り算は「いくつかに分ける」「等しく分ける」
などの概念がきちんと理解できていなければ、中学受験算数において頻出の「特殊算」でつまずく可能性が非常に高くなります。
そのため、小学校低学年のうちにしっかりと基礎学力を身に着けておくことが重要になるのです。
思考力・判断力・表現力を意識する
昨今の中学受験では、「知識」に加え、「思考力」「判断力」「表現力」が重要視されています。「思考力」「判断力」「表現力」とは、文字通り、得た知識を活用し、それがどのように活かされるかを考え、判断し、それを表現する力のことをいいます。
この一連の流れを、低学年のうちから意識させて勉強に取り組むのと取り組まないのとでは、雲泥の差が生じます。
具体的にどのように意識させていけばよいのでしょうか。
例を用いて解説します。
小学生新聞を読ませる
小学生新聞を用意し、どの記事を読むかを子供に自ら判断させます。
読む記事を選んだら、「なぜその記事を選んだのか」を聞き、思考させます。
その後、実際にその記事を読んでもらい、「この記事についてどう思った?」と聞き、口頭で表現してもらいます。最後に感想文を書いてもらい終了です。
ここで注意すべきなのは、がっちりルールを作らないことです。あくまで習慣化することが重要なので、習慣化するまでは、添削などはしないように注意しましょう。
”当たり前の感覚”を身につける
当たり前の感覚を身につけさせるのも重要です。
例えば中学受験の問題でA君の走るスピードを時速で求めなければならない問題が出され、子供が計算間違いをして「時速60キロ」と回答したとします。
大人であれば、問題が解けなくとも、解答としてありえない数字であると気づくことができます。これは日常的に車に乗り、時速60キロがどのくらいのスピードなのかが身についているためです。
しかし、子供は時速60キロの感覚がどのくらいのスピードなのかが身についていません。
ですので、例えば低学年のうちから車の助手席に子供を乗せて、メーターを見せながら実際にスピードを体感させてみる、といった日常の中にある「当たり前の感覚」を身につけさせることが重要なのです。
小学5年生〜6年生に開始するのでは手遅れなのか?
お子様にモチベーションがあり、学習管理が徹底できる環境であれば、この時期から開始しても不可能ではありません。実際に学研の家庭教師でも小学6年生で始めて、合格された方もいらっしゃいます。
ただし、小学5年生〜6年生の時期に中学受験に取り組むのは、通常3年間かけて行うことを1年間〜2年間でマスターしなければならないため、非常に大変です。
学校の授業の難易度も上がり、学校の宿題に取り組みながらも塾の宿題もこなさなければなりません。
また、遅い時期からの開始だと、入塾を受け入れてくれない所も多くあります。
ただし、中学受験の対策を行うにあたって、集団塾だけが選択肢ではありません。個別塾や家庭教師を利用すれば、個別的に対策を取ってくれるので、モチベーションと学習の両方の管理をすることができます。
学研の家庭教師でも、中学受験専門のコースがありますので、もしこの時期から中学受験をお考えの方は、是非お気軽にご相談くださいませ。
始める前に知っておきたい中学受験のメリット
中学受験に挑戦し、合格することで先々どのようなメリットが待っているのかを、始める前に確認しておきましょう。
ポイントは大学受験になります。
大学受験に最適な勉強環境に身をおける
大学進学は当たり前、よりレベルの高い大学に合格するために、逆算して中学受験を勝ち抜いてきた生徒だけで構成された集団の中で中学・高校生活を送ることができます。
大学受験に向けて自発的に勉強していくことが当たり前の価値観が共通としてあり、いじめや不良が少なく、誘惑によって道を外れることが少ない安全な環境で勉強することができます。
大学受験で有利な6ヶ年カリキュラム
私立中学側が家庭から求められる要素は、塾と同様「大学受験の合格実績」になります。
合格実績が豊富な学校は、カリキュラムと教師の質も担保されている傾向にあります。
レベルの高い中高一貫校では、数学で言えば中学校3年生前半で中学過程を修了させ、高校進学前の段階で高校数学に着手します。
高校過程は高校2年生で修了させ、大学受験対策へと移行していきます。
充実したカリキュラムと、実力・実績のある教師陣により、余裕を持った状態で大学受験に臨めるのもメリットの一つといえるでしょう。
始める前に知っておきたい中学受験の注意点と心構え
中学受験に挑戦する前に、知っておきたい注意点と心構えをお伝えします。
最悪の場合どうなってしまうのかを理解した上で、覚悟を持って中学受験に挑んでいただきたいです。
途中挫折してしまう
中学受験の大変さを理解していない、中学受験の目的設定があいまいな家庭で途中挫折が起こりがちです。
子供は学校が終わればすぐ帰宅し、急いで夕食を済ませ塾に向かいます。
夜遅くに帰宅し、そこから復習と宿題。
保護者は、場合によってはお弁当を作り、送り迎えもしなければなりません。子供の宿題や大量のプリント管理。毎週のようにテストが行われ、結果によって親子の感情は乱高下。
そんな生活が続いていきます。
学校の友だちと自由に遊べず、いつも宿題と時間に追われる子供。
テスト結果だけ見て「成績が悪いのはお前(母)の教育のせいだ」と叱責する父。
「もう塾なんてやめなさい」と感情的になってしまう母。
相応の覚悟ができていない親子はこうなります。
そして一時のストレス回避から中学受験を諦めてしまいます。
それが子供の失敗体験につながり自己肯定感が家庭単位で失われてしまいます。
大げさに聞こえるかもしれませんが、実際にこうなってしまうご家庭も少なくありません。
必要な心構え
子供に中学受験をさせるのは、中高生活、大学進学、就職、子育て、老後をより幸せに過ごさせるための投資であることを忘れてはいけません。
そのための犠牲を中学受験時代に消化しておくことを理解しておきましょう。
また、中学受験は大学進学のための一つのオプションであり、仮に失敗したとしても高校受験に有利に働き、挽回ができるチャンスがあることも親子ともに理解しておきましょう。
間違っても、勉強に追われる子供をみて「かわいそう」なんて思ってはいけません。
成績が良くなかったり下降傾向にあったりするときは、間違っても息抜きに遊ばせたり、習い事を続けさせたりする判断を行ってはなりません。
甘やかしたり息抜きをさせたりした時間分、ライバルから遅れを取り、近い未来に今以上のダメージを負うことを理解しておいてください。
大変な思いを小学生のうちにさせることを決断した以上、子供に嫌われたくないなどと言う甘い考えは捨て去りましょう。
親が子供に対して想う気持ちは「小学生の間は理解されない」そのことを理解すること。
親子が満足する大学に進学し、成人した時に「あのとき中学受験させてくれてありがとう」と言われることによって、初めて親の苦労が報われることを理解しておいてください。
少し厳しい言い方をしましたが、親子で受験に臨むということはそういうことです。
それぐらいの覚悟を持って中学受験に挑めば、きっと良い方向に道は開けます。
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まとめ
中学受験に取り組むタイミングや、早めに取り組むべき内容、注意点や心構えまで紹介しました。
この記事が少しでもご家族のきっかけになり、どのような形であれ、「挑戦して良かった」と思っていただけると幸いです。
中学受験、頑張ってください!!
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