「倍率って聞いたことはあるけどどれくらい大切なの?」
「倍率ってどこまで気にした方がいいの?」
高校受験において倍率という言葉を聞いたことはあっても、具体的な内容やどれくらい気にしなければならないのかは、きっかけがなければ知ることはできません。
そこでこの記事では、高校受験における倍率とはどのようなものかを解説します。また、一部高校の昨年度の倍率も紹介します。
高校受験の倍率とは
高校受験において、倍率とは募集定員に対して応募者の比率を表す指標です。
例えば、ある高校に300人の応募者がいて、その学校の定員が100人であれば、その学科の倍率は300÷100 = 3となります。
倍率は、受験者の競争の激しさを示す指標として取り扱われています。
一般論として、高倍率の場合、応募者数に対して合格者数が限られているため、合格する難易度が高くなります。一方、低倍率の場合は、応募者数に対して合格者数が比較的多いため、合格する可能性が高くなることを意味します。
倍率は応募者数に対する定員数のみを考慮しているため、受験者の成績や内申点などの要素は含まれていません。また、倍率は年ごとに異なる場合がありますので、参考程度に捉える必要があります。
倍率には3種類ある
一言に倍率と言っても、高校受験においては、3種類の倍率が存在します。ここではそれぞれどのようなものか見ていきましょう。
応募倍率
応募倍率とは、募集定員に対して応募数の比率を表す指標です。募集定員に対してどれくらいの応募があったのかを確認できる指標となっており、どれくらいの人が受験する可能性があるのかを確認することができます。
また、応募倍率は下記の計算式で算出できます。
応募倍率=募集定員÷志願者数
受験倍率
受験倍率とは、募集定員に対して受験者数の比率を表す指標です。募集定員に対してどれくらいの人が受験をしたのかを確認できる指標となっています。
応募はしたものの、実際には受験を辞退した場合や当日試験になんらかの理由で欠席する場合があるため、応募倍率よりも低くなる傾向にあります。
また、受験倍率は下記の計算式で算出できます。
受験倍率=募集定員÷受験者数
実倍率
実倍率とは、合格発表後に発表される倍率です。受験者数に対して最終的にどれくらいの合格者数が出たのかを表す指標となります。
合格をしても辞退者などが発生することもあるため、学校は予定の定員数よりも多くの合格者を出す傾向にあります。そのため実倍率は、応募倍率、受験倍率に比べて低くなる傾向にあります。
また、実倍率は下記の計算式で算出できます。
実倍率=受験者数÷合格者数
高校ごとの倍率を知る方法
倍率の調べ方は公立高校と私立高校によって異なります。
公立高校の場合は、新聞や各都道府県のWEBサイトなどで公開されます。応募倍率は、応募締め切り後に発表されるのでしっかりと確認しておきましょう。また、過去の倍率も確認することができるので、どのような傾向があるのか確認してみるのもよいでしょう。
■参考
令和5年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(最終応募状況)
私立高校については、それぞれの高校のWEBサイトに記載されることが一般的です。こちらも受験応募の締め切り後に発表されるので、しっかりと確認しましょう。
倍率が1未満でも安心はできない
高校の募集定員に対し、受験応募者数が足りていない場合、倍率は1未満となります。
では、倍率が1未満であれば必ず合格できるかと言われれば、必ずしもそうではありません。
倍率が1未満であっても、学校が設定した合格基準(成績や面接など)を満たしていない場合には不合格となります。倍率が低くても、学校が求める条件を満たさない限り、合格することはできません。
倍率は応募者数と定員数の関係を示す指標であり、合否に直結するものではないのです。倍率だけでなく、学校の要件や合格基準を十分に把握し、適切な準備を行う必要があります。
ただし、公立高校の場合、倍率が1未満となったときは基本的に「全員合格」となる都道府県の例はたしかに存在します。このような場合の扱いに対する考え方は都道府県によってまちまちのようです。
しかし、過去に「全員合格」としていた都道府県が次回以降の未来も同じようにする保証もないので、自分が受験する高校の倍率が1未満だった場合でも、気を抜いてしまわないよう注意が必要です。
模試の合格可能性判定×倍率で考える
では、自分が志望校に合格できるかどうかの判断はどのように行えば良いのでしょうか。
それは、模試の合格可能性判定と倍率をセットで見て判断する必要があります。
合格可能性80%場合
模試の判定で合格の可能性が80%と出ていれば合格の可能性は高いでしょう。模試はシステムの都合上80%以上の数値は出ないと言われています。そのため、試験当日に実力が発揮できれば、ほぼ合格できるという状態であるという判定です。
そのような判定が出ている場合は、倍率はほとんど気にせずとも合格の可能性は高いといえます。
合格可能性60%場合
模試の判定で合格の可能性が60%と出ている場合は、倍率によっては合否に影響があるといえます。
例えば倍率が2倍、200人受験して100人合格するという状況の場合、その100人の中に入ることが合格の条件になります。受験者の中で少なくとも真ん中よりも上の成績を獲得することができれば合格できるという状況です。
100人以内に入るために、残り半分の100人と競って勝たなければならないと考えることもできそうです。
一方で、倍率が1.1倍、110人受験して100人合格するという状況の場合はどうでしょうか。
110人中100位までに入る成績を獲得することができれば、合格できるという状況です。
模試の合格可能性60%を獲得できている成績を考慮すれば、十分に合格の可能性はあると言えそうな状況です。
これらのことから、合格可能性60%は「実力は合格水準に達してはいるが、他の受験生の成績次第で合否が覆る」ということを現した数値と言えます。
合格可能性40%未満の場合
合格可能性40%未満の場合は、たとえ倍率が1倍だったとしても、不合格になってしまう可能性もあります。志望校が求める合格水準がギリギリの成績であると言えるため、もし、倍率が1.1倍以上の高校を受験した場合、合格できるかどうかわからないという状況です。
このように、倍率が低くても成績次第では不合格の可能性もあります。一方で倍率が高くても成績が十分によければ合格することも可能なのです。そのため、倍率だけを見るのではなく、自分の現状の成績も把握した上で、その高校を受験するのかを判断する必要があります。
令和5年度の実倍率一例
ここで、令和5年度の実質倍率の一例を見てみましょう。
志望校に選ぼうと考えている学校がどのくらいの倍率になりそうなのかイメージしやすくなるはずです。
学校名 | 倍率 |
東京都立日比谷高等学校 | 1.7倍 |
東京都立西高等学校 | 1.5倍 |
東京都立国立高等学校 | 1.3倍 |
東京都立戸山高等学校 | 1.6倍 |
東京都立青山高校 | 1.7倍 |
東京都立八王子東高等学校 | 1.1倍 |
東京都立立川高等学校 | 1.2倍 |
東京都立新宿高等学校 | 1.9倍 |
東京都立国分寺高等学校 | 1.4倍 |
東京都立小山台高等学校 | 1.4倍 |
東京都立駒場高等学校 | 1.4倍 |
まとめ
高校受験の倍率について解説してきました。高校受験の倍率は応募倍率、受験倍率、実倍率に分けられます。実倍率が指標として正確な数値になりますが、実倍率は実際に合格発表後にしかわかりません。そのため、志望校における例年の実倍率を確認することをおすすめします。
また、合格できるかどうかは倍率だけでは測れません。模試などの合格可能性判定との掛け合わせで判断する事が大切です。合格に向けて、倍率だけでなく自身の成績や志望校の要件も考慮しながら、適切な準備を行いましょう。
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